10月に出す翻訳の初校ゲラは先週末に出した(と思ったらもう今日には再校が届くという!)。昨日が締め切りだった採点は、どうにか終えた。晴れて夏休みと言っていい期間に突入したわけだ。夏休みと言っても、毎日読んだり書いたり翻訳したりしているわけだが。少なくとも授業と大学の業務のない期間に享受できることは、街に出ることだ。
そんなわけで、行ってきた。エドムンド・デスノエス『低開発の記憶』出版記念映画上映+トークショウ@アップリンク・ファクトリー。
翻訳者であり映画の字幕製作者である野谷文昭さんと、映画の配給会社代表の比嘉世津子さんのトーク。
野谷さんによる、翻訳にいたる経緯の説明から始まって、ふたりでの映画と小説の違いの検討へと話が移っていった。いまだにこの作品が映画学校などではドキュメンタリー・フィルムとフィクションの融合の例として、教材に使われるという比嘉さんの指摘、主人公が引用するネルーダの詩が小説と映画では異なるという野谷さんの指摘などは教えられるところがあった。最後にふたりが一致して言っていたことは、10月危機の恐怖を主人公が感じているのに誰にも伝わらないという恐怖、これが(小説でも映画でも)いちばんの主張ではないかということ。