2019年10月12日土曜日

嵐を耐え忍ぶ


前回投稿した翌日、5日には第4回現代文芸論研究発表会があった。毎回、作家をゲストに呼んでいるが、今回は町屋良平さん。自分へのインタヴューという形式で「小説を書く身体/小説を読む身体」という話をされた。夢を見た状態を、一日で書き終わることのない小説を書く間生きていることが小説を書く本質などと、実に興味深い話だった。

町屋さんは文藝賞を受賞してデビューした。彼が受賞した翌年には僕も授賞式に呼ばれたので、若竹千佐子さんが受賞したそのときはノコノコと出かけていったのだった。

その文藝賞の授賞式。2年ぶりに出た。11日(金)のこと@明治記念館。

今年の受賞者は宇佐美りん「かか」と遠野遥「改良」。宇佐美さんは20歳の若さだというのに、受賞の挨拶も立派なものであった。遠野さんは自分の書いたものを人に読んでもらうことの楽しさを語られた。

ところで、繰り返すが、著書『テクストとしての都市 メキシコDF』が、難産の末にほぼ一月後に上梓されるもよう(11月11日、ポッキー・プリッツの日に発売予定)。それのプロモーションではないが、ちょうど時期があったので、宣伝がてらこんなこと(リンク)をやる予定。来てね。

台風のため、今日の立教の授業は休講。明日の「はじめての海外文学スペシャル」も中止。

写真はイメージ(文藝賞授賞式に向かう直前に撮ったもの)。

2019年10月4日金曜日

軽薄短小への回帰


iPadはずっと第1世代のミニを使っていたが、ここしばらくは普通の大きさのiPadに戻っていた。

で、ちょっと前に久々にiPad miniに第5世代が現れ、それがApple pencil に対応しているというので、やはりミニにしてみようと思った。

先日、バルセローナに行く際に置いていく決心をしたとき、iPadの用途をつきつめて考えたら 1)新聞電子版の購読 2)PDFファイルへの書き込み が他のディバイスに代えられないアドバンテージだとの結論に達した。加えて 3) Kindleや他の電子ブックとしても抜きん出ている。しかるに、この3)の機能はやはり少し小さめな方が持ちやすく、いい。1) 2) がやりづらくなるほどの小ささでもないサイズなのがミニだ。で、ミニに戻しみようとの結論になったのだった。

手にしてみると、その軽さも強みであることがわかる。

僕は最近、さすがに贅肉がつきすぎたと思って、少しずつ減量しているところだ。3Kg くらいは落ち、このところ窮屈にかんじていたあるジーンズに余裕を感じる程度にはなった(でもまだあと10Kgほど減らしたいのだが)。

ディバイスも軽くしていくに限るのだ。

いよいよ最後の校正。『テクストとしての都市 メキシコDF』。むふふ。すてきな装丁になりそうなのだ。このくらいの大きさ。

ところで、これができあがるころ、こんなイベント(リンク)やります。来てね。チケットはこちらから(リンク)

あ、そうそう。ところで、「亜熱帯から来た男」連載第2回(リンク)

2019年9月17日火曜日

今日は本屋巡り……なのか?


実質的にバルセローナ最終日の今日は本屋巡りだ。

スペイン最大の書店Casa del Libroはここではカタルーニャ語になっているのだ。Casa del Llibre 。前からそうだっけ? ランブラ・カタルーニャにあるこのお店は間口は狭いが奥行きが深い。京都みたいに? と昨日の教え子。なるほど。

袋にはサイトを示すカスティーヤ語とカタルーニャ語名が並んでいる。

ホルヘ・カリオンの本にもあったと思うけど、Re-Reed書店。古書店だ。

これはカリオンの本にあったかな? きっとあったに違いない。Studio 。すごく雰囲気がいい。店番の老女がプロ中のプロ。かっこいいのだ。

掘り出し物は、ここで見つけた。Maldà 悪いのか? maldadなのか? と思ったが、たぶん、地名。

ここで見つけた掘り出し物というのは、これ。ラモン・ビーニャスの伝記。ビーニャスは長いことコロンビアのバランキーリャで本屋を営み、ガルシア=マルケスとその仲間たちに影響を与えた。『百年の孤独』にEl sabio catalán として出てくる人物のモデル。「物知りカタルーニャ人」。鼓訳ではなんと言っただろうか? 「カタルーニャの学者」? 今、手元にないので確認できない。

ともかく、この人物の書いたものとか何かないだろうかと試しに聞いてみたら、今あるのはこれだけだとして出してくれた。訊いてみるものだ。さすがはプロなのだ。

La Central という書店のラバル地区にある店舗がわりといいなと思い、最後はそこのカフェで一服。

ここまで来たら海を見たいなと思い立ち、行ってみた。コロン像。コロンブスね。

で、気まぐれから港を遊覧する船に乗ってみた。45分コース7ユーロ也。

埠頭の先に出たら、さすがに船が大きく揺れだした。航海に出たことを後悔した。その先にはまんじりともしないタンカーが何隻も浮かんでいた。

最後はさらに観光客気分でクアトロ・ガッツへ。わりと好きなのだ。〈4匹の猫〉。

ところで、最近翻訳された『ダイヤモンド広場』の舞台化作品がもうすぐ上演されるのだそうだ。

2019年9月16日月曜日

カタルーニャにはいろいろなルートがある


昨日はブラーナスで La ruta Bolaño をたどったが、今日はバルセローナで別のルートを見つけた。

Ruta del Modernisme ムデルニスマのルート。要するにバトリョ邸だのペドレーラ、カサ・ミラなどが立ち並ぶグラシア遊歩道のことだ(と思う)。

仕事でパリに行き、ついでに休暇を取ってバルセローナに遊びに来たという外語時代の教え子が、ちょうどバトリョ邸の見学を終えたころに食事をしようということだったので、待ち合わせに先立つ時間、この界隈を散歩したのだ。

僕は実はそうした観光スポットの内部には入ったことはない。最後にバルセローナに来たころにはまだグエイ公園もサグラダ・ファミリアも予約は必要なく、ちょっと並べば中に入れるくらいのものだった。サグラダ・ファミリアは塔に上ろうとして螺旋階段が怖くて、僕は途中でやめた。グエイ公園には行った。が、ほかは特に入ったことはない。そんなことをつらつら考えていたら彼女が出てきたので、ひとつ裏のランブラ・カタルーニャの遊歩道にテラスを張り出している店のひとつで食事をした。

写真は、ここからランブラ・カタルーニャが始まるという地点。ディアグナルとの接点。なんだか面白い。

あちこち歩き回って疲れるのだが、バルセローナの歩道にはこんなベンチが置いてあるので助かる。ひと休み。

2019年9月15日日曜日

聖地巡礼


日本時間に設定してあるので昨日のことのように思えるかもしれないが、今日、14日(土)は休みの日なのでリゾートに行った。

ブラーナスだ。ボラーニョが住んでいた街だ。バルセローナから近郊線に乗って1時間40分ばかり。でも駅から市街地は、この路線上の街にしては珍しく遠い。

思ったよりもはるかに大きな街だった。ビーチも楽しそう。でも〈火傷〉のツインボートは見当たらない。

こんなのがあるのだ。La Ruta Bolaño。ボラーニョゆかりの地を巡るツアー。ツアーと言ってもガイドがいるわけではなく、僕はひとりで勝手にいろいろ探して歩き回ったわけだが。繰り返すが思ったより大きな街だったので全部は巡れなかった。あるいは平日に来たら、どこかでルートマップでも配ってくれたのだろうか? 

ブラーナスに来て最初に住んだアパート。Carrer de l'Aurora 2。これはルートの5番。ボラーニョの名のついた部屋がある図書館(6番)のすぐ近くだ。

そんなことより、これだ。ホテル〈コスタ・ブラーバ〉。

『第三帝国』の舞台は特にブラーナスと銘打ってはいないが、主人公の逗留しているホテルは〈コスタ・ブラーバ〉という名で、きっとこれが念頭にあるのだろうと思う。

そのカフェ。撮らなかったけど、この画面のフレームから外れる辺り、隅の席では老女がビールの瓶をテーブルに置いて、突っ伏して眠っていた。ロビーもしっかりしているし、カフェの逆の側にはレストランもある。フラウ・エルセがふらっと現れそうだ。

ただし、ビーチからは離れているので、これそのものが完全なモデルとは言えないだろうけど。

でも、それにしても、今度はここに滞在したくなったな。

2019年9月14日土曜日

ボラーニョのサイン



待ち合わせと待ち合わせの合間にここに行ってきた。バルセローナ現代文化センター(CCCB)バルセローナ大学哲学部・地理歴史学部の正面にある。

フェミニズムのアヴァンギャルド展というのをやっていて、なかなか面白かった。1970年代からのフェミニストたちの自己表現をいろいろ集めたものだ。

ブックショップには案の定、これがあった。

2013年、ボラーニョ没後10年に合わせて開催された彼のアーカイヴ展のカタログ。あいにくカスティーヤ語(スペイン語)版はなくカタルーニャ語版だけなんだが、と言われたけれども、問題ない。ボラーニョの文章はカスティーヤ語で引用されているし、巻末にはビラ=マタスらの英語の文章も掲載されている。カタルーニャ語は文法書をざっと読んだことがある程度だが、まあどうにかなるでしょう。

現代美術館では「定義なき領土」展。おそらく中心はアルジェリア問題から始まる時々のアラブ・サミットの映像を中心にしたドキュンメンタリー・フィルム。いろいろと考えさせられる内容だ。1ヶ月間何度でも出入りしていいという入場券なので、今回は見られなかった別の映像も見てこようかとも思う。

美術館や街角のバルなどでもVisaのタッチ式の支払いが浸透しているので、実に楽である。

2019年9月13日金曜日

三日遅れの……


バルセローナ行きの件、結局、3日後、12日のデュッセルドルフ経由に振り替えが利いたので、やってきたのだ。三日も遅れたので、一番の用件は、諦めた方がよさそうだ。

デュッセルドルフの空港を、アリバイ作りに(?)、これ見よがしに。

デュッセルドルフから乗ったエアバスA320の窓からはアルプスが見えた。そして地中海が見えた。シチリアが見えたと思ったけれども、シチリアのはずはないのだった。しまいにはバルセローナに着いた。

取ったホテルはアシャンプラという地区。斜め前にはNHホテルがあった。チェーンのホテルで、これは二度ほど利用したことがある。

今回のホテルは、このこぢんまりとしたしかたがいかにもヨーロッパらしいホテル。メキシコなどの半分くらいの広さという感じだ。小さいけれども、日本のホテルのような画一化された間取りとの感じは抱かない。浴室のドアが白い木の引き戸だなんて! 
そして、この入り口のドア!

例によって時差ぼけで早く目覚めたので、しばらく仕事(校正の仕事はないはずだからiPadは持ってこないなんて書いたのに、ふたつもあった!)をしてから朝食。朝食前の今、空腹は絶頂に達している。

2019年9月10日火曜日

ボクの初体験


書肆侃侃房のnoteページ「web侃づめ」でこんな連載を始め、その第一回が昨日、掲載された。「世界文学の体温」というシリーズで都甲浩治さんによるアメリカ文学編「アメリカから遠く離れて」と同時に開始となった。僕のタイトル「亜熱帯から来た男」は次回、その由来がわかるはず。

第一回で弓月光『ボクの初体験』という漫画のタイトルを挙げたので、今日のタイトルは、それ。実際、初めての体験をした。

要するに飛行機が欠航したのだ。台風のため、10時出発予定だった飛行機は早々と15:55と遅延を決定していた。しかし、それも叶わず、結局、欠航になった。翌日のフライトは満杯だから振り替えはできず、旅行会社に問い合わせてくれとのこと。結局、帰ることにした。

が、空港内は大混乱だった。鉄道は台風のため復旧しておらず、バスも動いてはいるが高速が閉鎖されているため時間がかかる。それでもそのチケットを求めて人が列をなしている。欠航になった客と到着した客が混じって、大混乱だ。周辺のホテルも片っ端から電話を入れたのだが、満室だ。

ずるをして、出発ロビー(4階)に着いたばかりのタクシーを拾おうとしたら声をかけられ、東京に戻るから割り勘で行こうと言われた。それに乗じて、3人で割り勘にして東京に戻ってきた。タクシーは東京から成田までの道は一般道で来ざるを得なかったとのことだったが、幸い、高速に乗ることができたので、どうにか日づけの変わるころには帰り着くことができた。やれやれ。

さて、僕はどうすればいいんだろう?

2019年9月8日日曜日

台風の脅威


実は明日から数日、バルセローナに行ってくる。

が、台風が近づいている。フライトは朝なので、今日のうちに成田のホテルで泊まる予定なのだが、そもそも明日、飛行機は飛ぶのだろうか? 実は僕は飛行機の大幅な遅延とか欠航とかに遭ったことはなく、心配なのだ。集中講義中、南山大学の学生たちでメキシコやらコロンビアやらに研修に行っていた学生たちが、午前0時過ぎに出発する飛行機が5時間遅れで困っているという話を他人事のように聞いていたが、我が身に降りかかってきてしまった。

台風が通り過ぎていることを祈る。

先日「電子生活」などと書いたのに、今回の旅行にはiPadは持っていかないようにしようと思う。集中講義や講演、学会発表などはないのだから。マックとiPhoneのみでどうにか用は済むはずだ。そのいずれよりもiPadが勝っているのはKindlePDF関連のソフトだけれども、この間、ゲラを校正することはないはずだし、飛行機などの移動では僕はほとんど眠って過ごすから本は23冊で済む。それに現地でも買い込む予定だし。

ふだんのノートも置いていく。旅行中はそれ専用のノートにする。写真は、Moleskine の薄いやつで、今回はこれを使う予定。ペンもローラーとシャープペンシルを一本ずつに絞る。ともかく身軽に過ごしたいというオブセッションが強いのだな。

さて、……

2019年9月6日金曜日

集中講義講師の電子生活


授業ではきちんとした原稿は準備しない。今回の集中講義もそうだが、最近の僕は毎回の授業に長篇の一部や短篇全編をネットを通じて配布し、読んできてもらうことにしている。そのテクストについてのコメントを受講生から引き出しながら話を進める。

そんなわけで、きっちりした原稿は用意しない。けれども、今回の授業はオーソドックスな文学史が要求されるものなので、毎回、言うべきことは言わなければならない。メモなどは用意していく。

それが1枚で済むならディジタル・ペーパーやiPad で表示しながら済ませる。ただ、枚数が増えると手でめくる速さには叶わない。だから何枚もの印刷した紙も携行する。集中講義の場合は、毎日、使い終えたメモを捨てていく。帰りに身軽になるようにだ(メモはPCに保存してあるので、捨ててもかまわない)。

今回、力を発揮したのがiPhone(でもiPadでもいいが)向けAppアプリ〈かんたんnetprint〉。ファイルを登録して近くのセブンイレブンでプリントアウトする。自分のみが参照するプリントではなく、配布用のプリントであらかじめ印刷してくるのを忘れたものをこれでプリントアウトしたという次第。

昨日新聞の一面で『大辞林』第四版の広告を見たので、すぐには紙の実物は買えないが、今日、Appアプリ版(物書堂)をダウンロードした。

書斎のモバイル化だ。これでどんな集中講義でも大丈夫。