2019年3月30日土曜日

ひどい時差ぼけに悩まされた


表題のとおり、アルゼンチンから帰国後、ひどい時差ぼけに悩まされ、しばらく身体が重かった。

3月10日(日)には野崎歓さんの最終講義に行ってきた。その日はまた、大学の合格発表の日でもあった。

3月16日(土)には共立女子大でのシンポジウム「アメリカ大陸のブラックミュージック」に参加してきた。ふむ。勉強になることばかり。

3月24日(日)には同僚の沼野充義さん発案になる「野崎歓と世界文学の仲間たち」というイベントに参加してきた。野崎さんの20分ばかりのスピーチの後に、くじ引きで順番を決め、11人の話者が7分ずつ(実際には皆、10分くらいかかったと思う)話すというもの。僕は「魚」というテーマをもらったので、魚以外のことを語ること、魚を語らないこと、などから魚を定義する話をした。

これはそのときの籤。色鉛筆。僕は黒だったわけだ。

翌26日(月)には飯田橋文学会の現代作家アーカイヴズで、インタヴュアーとして池澤夏樹に話を聞いてきた。公開。2番大教室はほぼ満員になった。

これらの作品を中心に語ったのだ。

コンピュータのOSをアップロードすると、それまで使えたディヴァイスが使えなくなることがある。Scan SnapがマックのMojaveに対応していないというので、無線LANで接続可能な新しいシリーズに替えた。

やれやれ、出費がかさむのだ。でも、おかげで快適。

2019年3月15日金曜日

悩ましいことばかり


既に何度も書いていることだが、例外はあるものの、情報はひとつのノートに集中させている。日記、メモ、読書記録、草稿、等々。理科系の研究者にとっての実験ノートのような用途も担わせている。

基本的にはモレスキンのソフトカバーを使っている。が、そればかりだと飽きるので、最近は他のノートと交互に使うことも多い。渡邊製本謹製BOOKNOTEが最近のお気に入り。今使っているモレスキンがあと十日もすれば使い終わりそうなので、新しいノートを注文した。

が、そんなときに限って、この渡邊製本、新商品をこれ見よがしに繰り出してきた。悔しいじゃないか、万年筆向けのノートと来た。何やら万年筆愛好家の間で評判のトモエリバーとかいう薄くて軽くて、しかしにじみの少ない紙を使ったノートらしい。

うむ。ふだん万年筆を使う身ではあるが(ペリカンのスーヴェレーンとモンブランのマイスターシュテュックを交互に)、中途半端なこだわりしかないので、知らなかったぜ、トモエリバー。さっそくそれも注文したさ。

なるほど、書き心地はいい。吸い取り紙までついている。

しかしなあ……

これまで方眼ノートを使っていた僕はこの方眼をちょっと重く感じるようになって、久しぶりに無地に回帰しようと思ったのだよ。だからBOOKNOTE は無地のものを注文したのだ。それなのに、この万年筆用新作CROSSFIELD は方眼紙なのだな。うーむ……

世界はなぜ僕を悩ませようとするのだろう? 

まあいいや。さて、問題は、この新作をどんな用途で使うか、だな。普段使いのノートにはその場に応じて鉛筆やボールペン、ローラーなどで書き込むこともある(基本は万年筆だが)ので、従来のBOOKNOTEを充てるとして、CROSSFIELD はどうすべきか? 

きっとこれも普段使いに回すのだろうな。

2019年3月4日月曜日

これも聖地巡礼。たぶん。


観光旅行のようなことはあまりしないのだが、ホテルはコロン劇場

のすぐ前だし、中心街なので、大統領官邸Casa Rosada

なんてのも歩いてほどなく行ける。エビータとペロンが邂逅を果たしたルナ・パーク

なども。

今日は、セサル・アイラの作品によく出てくるフローレスFlores地区に足を運んでみた。雰囲気を知っていると知らないでは違うかなと思ったのだ。

なるほど、瀟洒、とは言えないが住宅街で、なんと、地上の鉄道まで走っている。

公園にはこんな(見えるだろうか?)

緑の鳥までいた。鳩に混じって。

ところで、北からの日差しが方向感覚を狂わせると2日前に書いた。もうひとつ感覚の狂うことがある。何か?

ブエノスアイレスの地下鉄は左側通行なのだ! 少なくとも僕がこれまでに乗った3路線はいずれもそうだ。

これにはびっくりだ。僕はてっきり、車が右側通行である都市では地下鉄や鉄道も右側通行なのだと思い込んでいた。東京は車も電車も左側通行。メキシコは車もメトロも右側通行。しかし、ブエノスアイレスは違ったのだ!

これはあれかな? 丸ノ内線の車両を払い下げて使っているということと関係あるのかな? ただし、僕は丸ノ内線の車両は見ていないのだが。

地下鉄の表示は面白い。「現在地」を示すのに "Usted está aquí" (あなたはここにいます)などと書かず、"VOS" 

である。「お前」なのだ。なんかすてきだ。

2019年3月3日日曜日

聖地巡礼……なのか?


こちらはまだ2日土曜日。この日はお定まりのコースとして書店 El Ateneo に行ってきた。

劇場を改修した書店で、BBCが世界で最も美しい書店のひとつに選んだ奴だ。実際の El Ateneoはもう何店か存在していて、僕はそのうちのひとつに到着初日に行ったのだった。フロリダ通りにふたつある店舗のひとつ(あとで訊いたら、ひとつはもう閉店したのだそうだ。つまり、フロリダ通りにはひとつしかない)。あの「フロリダ派」と「ボエド派」(ボルヘスのころのふたつの対立する文学グループのことだ)のフロリダだ。繁華街なのだ。で、BBCで話題のこの店はサンタ・フェという通り沿いにある。

サンタ・フェ通りには Galería がたんさんあった。ひとつの建物の中にたくさんの小さな店舗が軒を連ねる商業施設だ。セサル・アイラの「試練」では、こうしたGalería内のスーパーマーケットを主人公たちが襲うことになる。映画『僕と未来とブエノスアイレス』の舞台になったのも、galería内の店だった。

さて、El Ateneo。さすがに観光客がいっぱいで、皆、写真を撮っていた。

かくいう僕も撮ったわけだが……

そして何より感心したのは、1階桟敷席が読書室になっていること。

2階に行くと、桟敷だった場所がこのように仕切りを取り払われて全体が回廊になっていることがわかる。

僕が探しているたぐいの本は古本が主なので、あまり新刊には興味がないのだが、それでもカタログ・ショッピングだけではわからない雰囲気をつかみ、見逃していた本を買うために行く。

フィクションではセサル・アイラとサマンタ・シュウェブリンを買った。アイラはSFなんて書いてあるものだから、絶対に変なSFだろうとの確信をもって。シュウェブリンは冒頭が「三人が最初にしたことは胸を見せることだった」なんてな感じだったので、ついつい、なんだか、引き込まれて……

もちろん、店内のカフェで食事をしたのだった。(下はカフェから見た店内)

その後、古本屋巡り。


2019年3月2日土曜日

時差を抱きしめて


東京とブエノスアイレスの時間差はちょうど12時間。無理して時計を変えずともいい。その意味では楽だ。旅行中は時差ぼけをあえて直そうとはせず、早寝早起きの生活を送る。ホテルの朝食の前にかなりのまとまった仕事をする。

それから出かけていく。地下鉄はSubeというカードで利用する。街角のキオスクで120ペソだっただろうか? 180? まあいいや、それにさらにいくばくかチャージする。

今日、1日を過ごしたのは、ここ。

空の青と芝生の緑の対照が鮮やかなのは、ブエノスアイレスの空が美しいのか、写真の映りがいいのか。ともかく、国立図書館だ。これはその前庭、というのかな?

おや? あそこに何やら見覚えのある人物が……

アルフォンソ翁ではありませんか!

アルフォンソ・レイェスは1927-19301936-1938年の間、在アルゼンチンのメキシコ大使をしていた。その間にボルヘスらと親好をむすび、彼に影響を与えたことはつとに知られている。そのレイェスの銅像がブエノスアイレスの国立図書館の庭にはあるのだ。教えられて知っていたけれども、あらためて見ると、感無量。

思ったほどの成果は得られなかったけれども、ともかく、ある種の雰囲気をつかむことはできた。アーカイヴ調査は、そこが大事だったりするのだ。成果としての情報もともかく、時代の雰囲気を感じ取ること。

それにしても、もう眠くてしかたがないのだ。

2019年3月1日金曜日

南米のパリたるゆえん


ブエノスアイレスが「南米のパリ」を自認するゆえんのひとつは、こんな街角のつくりにある。オベリスクの周囲がディアゴナルになっていて、建物の高さとファサードがそろっている。



それにしても、夏の昼間の日差しが北から照りつける事実は、思いのほか感覚を混乱させるものである。


『文学ムック たべるのがおそい』Vol.7(書肆侃々房)。ここに「儀志直始末記」という短編小説のようなものを書いている。島唄の「儀志直」を基にした短篇のようなものと、それの作者と思われる人物についてのボルヘス的遊びを試みた「編者注」からなるもの。

このムックの編集長を務める西崎憲さんに、あるところでお目にかかったときに、「君も何か書くの?」と言われて、こんなものができました、と持っていったら、採用していただいた。

ブエノスアイレスでゲラを読む。