2019年2月23日土曜日

ヘビと魚と独裁者


今度、こういう催しをやる。

アメリカ大陸のブラックミュージック@共立女子大学

同大学の福嶋伸洋さんが企画したもので、南北アメリカというか、アメリカズというか、4言語横断の黒人音楽の痕跡を文学などにたどるもの。僕は「ヘビの踊り」について話す予定。カルペンティエールの小説の主要なモチーフのひとつだ。

その数日後には、まだ情報が解禁されていないので、あからさまに言うことはできないが、なにやら魚について7分ばかりの短い話をする。

そして、3月25日にはこちら(リンク)。

飯田橋文学会の〈現代作家アーカイヴ〉の一環として池澤夏樹さんにインタヴューする。

平野啓一郎さんの発案で始まったこのシリーズはインタヴュイーたる作家に自作の中から3作を選んでもらい、主にそれをめぐって自身の創作活動を振り返っていただくというもの。

池澤さんが選んだのは『マシアス・ギリの失脚』『花を運ぶ妹』『双頭の船』の3作。僕はやはり独裁者小説『マシアス・ギリの失脚』で池澤さんに注目するようになった人間なので、これが1作目に選ばれるのは嬉しい。

楽しみ。

東大本郷キャンパス法文二号館2番大教室。



2019年2月12日火曜日

不倫の代償?


何度か書いていると思うが、新国立劇場演劇研修所の修了公演にご招待いただく。今年、12期はアーサー・ミラー『るつぼ』がその演目だ。水谷八也翻訳、演出は現在の同劇場芸術監督・宮田慶子。

『るつぼ』はセイラムの魔女裁判(このバージョンではセイレムと表記)を扱った戯曲だ。マッカーシズムの嵐が吹き荒れるころに書かれたものだ。映画『クルーシブル』(1996)の原作。

セイラムの魔女裁判は、ニューイングランド植民地の同名の村で十七世紀に起こったもの。若い女性が集団ヒステリーから魔女を名指しし、始まった裁判では次々と魔女認定がされ、何十人もが絞首刑になった。

ミラーの戯曲は魔女を名指しして聖女のように扱われたアビゲイル・ウィリアムズ(川飛舞花)が、奉公に出ていた先で関係を持った農場主ジョン・プロクター(河合隆汰)の妻エリザベス(永井茉梨奈)に抱いた嫉妬をそもそもの中心に据えている。プロクター夫妻のキリスト教徒としての倫理観と集団ヒステリーへの態度が2幕以降の展開を支える。

魔女裁判の特徴は告白にある。魔女を見たと告白した者は、罪を認めたとして罰が軽減されるというパラドックスが成り立つ。その点はたとえば『裁かるるジャンヌ』のジャンヌ・ダルク裁判と変わりない。問題は、罪を認めることはキリスト教徒としての堕落を意味し、自らの名を汚すことを意味するということ。名を汚して生きながらえるか、立派なクリスチャンとして死んでいくかの問題だ。この場合、いずれの選択もあきらかな狂気への屈服をも意味するから耐えがたい。

法廷の場面こそないが(裁判所の控え室の場はある)、罪を認める認めない、何が罪であるかないか、などをめぐる言葉のやりとりの劇なので、裁判劇の変種と見ていいのだろう。緊迫感たっぷりであった。

このできごとを題材にした小説に、マリーズ・コンデ『わたしはティチューバ』がある。事件の発端となった少女たちの集会で、魔術を使ったとされるバルバドス出身の女性を題材にしたものだ。風呂本惇子・西井のぶ子訳で邦訳がある(新水社、1998)。訳者の風呂本による「あとがき」ではティチューバをこのできごとの重要人物のひとりとして登場させた先駆的作品が『るつぼ』だとのこと。

2019年2月10日日曜日

今日から僕もポメラニアン!


怒濤の論文審査週間が終わった。博士論文1本、修士論文5本、学部卒業論文12本。やれやれ。

とあるTV番組が終わるらしく、そのことを嘆くツイッターの書き込みをよく見た。新刊本の作者を呼んで話を聞くという番組だ。僕も何度か見たことがあるが、なにぶん、深夜の番組なので、なかなか頻繁にはチェックできない。TV番組を録画して見るようなことはめったにしないので、たまたま起きていたときくらいしか見ない。

で、その終了が予告されたあと、久しぶりにその時間まで起きていたので、見た。

吉本ばなながゲストだった。

彼女の家の紹介があった。彼女はよくポメラで書いているとのこと。

ポメラ。実は前から気になっていた。特に吉本ばななに思い入れはないが(むしろ彼女の父親をよく読んだ)、気になっていたポメラで書いていると聞くと、欲しくなるじゃないか。

で、ここ数日、ポメラを使っている。DM200。なかなかいい。縦書きや反転表示も可能なのがますます嬉しい。ファイルはテキストファイル。

僕は以前、こんなこと(リンク)を書いたのではあるが、今ではMS Word (for Mac) はほとんど使っていない。重いのだ。長い文書だと処理に手間取ってもどかしい。だから今ではエディタでテキストファイルかリッチテキストファイルにして書いている。主にiText Proというソフトを使っている。そんなわけで、テキストファイルを生成してくれて、PCとのリンクもできるこれは、なかなかのすぐれものではないかと思う。もちろん、キーボードはPCよりも小さめなので、慣れる必要があるが、タッチは悪くない。

余談だが、親指シフトキー愛用者にはその配列もできるという。僕は親指シフトはできないのだが、それにこだわるひとには朗報に違いない。(フィルムに包まれたままなので、写真が見栄えが悪い)


2019年2月5日火曜日

届いた!


久しぶりに本棚を増設したのだ。乱雑に床に置かれていた本をこれで収納できる。

やれやれ。

しかしこれもすぐにいっぱいになっちゃうんだろうな。

ところで、この場所はこうなっていたはずだ。

あのちっちゃいのに大容量の棚はどこにいったのか?

ここでした。

枕元。地震があったら本当に怖い。でもまあ、これくらいなら、大丈夫だ。たぶん。