2019年6月24日月曜日

原題はシンプルに「天使」



試写で見てきた。1971年、アルゼンチンで実際に起こった事件(連続殺人、というと少し違うような気がする)を基にした作品。美しく、子供のころから女性と間違えられることもあったカルロス・ロブレード=プーチ(ロレンソ・フェレ)が、産業技術学校の仲間ラモン(チノ・ダリン)やその親と組んで盗みを働き、かつ、次々と殺害していく話。

実際のロブレードが犯した罪は殺人11件、強盗17件、強姦1件、等々と数多いのだが、映画はそれらを全部描こうとはしていない。映画内での犯罪件数はもっと少ない。むしろロブレードの人格や官能性に重点を置いているという感じ。美少年フェレと名優リカルド・ダリンの息子チノの取り結ぶ関係は、実に怪しげでスリリング。なんというか、やおい女子たちにはたまらないのではないか。

ロブレードは当初から同性愛者ではないかと報道されたとのことだが、そう断定していないところが映画の生み出す官能性の中心。宝石店に強盗に入ったさいにイヤリングを身につけ、壁の鏡をのぞき込む表情、バスタオルを腰に巻いて眠ったラモンのそのタオルをはだけ、盗んだ宝石を股間に置くシーン(女体盛りならぬ男体盛り……なのか?)などは、あくまでもふれ合うことのないふたりを描きつつ、ゾクッとさせる。逆にラモンの方がゲイの美術商に身を委ねるところが、このふたりの関係の重要なところ。


(写真はイメージ)

2019年6月23日日曜日

まだまだ続くイベントの6月


先週の日曜日(16日)には外語時代の教え子の結婚式と披露宴に呼ばれ、富山に行った。富山で結婚したのだ。

富山城址公園の目の前に泊まった。他の場所で披露宴に参加している最中に、このあたりを朝の山が凱旋パレードしたらしい。

翌日は還水公園を訪れ、その後、参加者のひとりとともに帰った。

僕としては結婚という制度に大いに懐疑的ではあるのだが、それでも結婚しようと決意する者たちに冷や水を浴びせるつもりはなく、教え子の結婚式となれば呼ばれれば出席もするのだ。それでも、判で押したような礼服、白いネクタイもいやなので、コットンスーツにボウタイという出で立ちでの参加であった。

21日(金)にはミキ・デザキ監督『主戦場』を見てきた。面白い。

22日(土)にはやはり外語時代の教え子たちが入学10年になるのを記念して集まった、その集まりに呼んでいただいた。富山で結婚した教え子の一学年下ということになる。

今日、またひとり、結婚するから披露宴に出てくれとの報せが届いた。ご祝儀など、いろいろ大変なのだ。

2019年6月11日火曜日

やっぱり鉄鍋だぜ


64日(火)には飯田橋文学会による吉本ばななインタヴューを聴きに行った。「デッドエンドの思い出」の映画化作品のトレーラーを見て、不覚にも涙をこぼしそうになった僕ではあるが、わたしの映画化作品ってなんだかいつもちょっといい話になっちゃうのよね、という観測に唸ってしまったのだ。

6日と7日にはホルヘ・カリオンのトークショウ(それぞれセルバンテス文化センターで旦敬介さんと、吉祥寺古書店〈百年〉で松本健二さんと)を聴きに行った。彼の『世界の書店を旅する』(野中邦子訳、白水社)についてのお話。

かつて、だいぶ長いこと中華の鉄鍋と同じく鉄のフライパンを使っていた。最近はなんとか加工のものにしていたのだが、このなんとか部分(テフロンとかフッ素とか)、案外早く剥がれて焦げつくようになる。加えて、あまり軽いと五徳の上で安定が悪く危なっかしい。やはり鉄にしてみようと思った。

最近は鉄のフライパンといえど、最初の空だき不要を謳っているものもある。でも、念のために油ならしはしてから使った。

うむ。確かに、この味だったのだ。僕が長くなじんでいたのは。

2019年6月2日日曜日

六月はイベントの月


日本ラテンアメリカ学会第40回大会というのに行ってきた。この2日のこと。会場は創価大学。八王子から4キロばかり行ったところにある。さすがは立派なキャンパスだ。

とはいえ、土曜日の午前中は立教での授業(ラテンアメリカ講座)なので、それを終えてから八王子まで行くと、もう研究発表は聞くことはできず、記念講演、総会、懇親会だけ参加。2日目の今日は文学の分科会でディスカッサントの役目を果たさねばならなかった。だから昨晩は八王子に宿泊。

分科会はなかなか面白かった。メキシコの先住民女性文学をフェミニズムの見地から紹介するもの、ロサリオ・カステリャノスの短篇における家族の描かれ方(これに僕はコメントした)、『百年の孤独』の豚の尻尾のモチーフを動物化の道具立てであるとしてテクストを分析するもの。

日本ラテンアメリカ学会の場合、日曜の午後はシンポジウムで締めるものだが、それには参加せず、友人たちと昼食へ。

さて、来週はイベント続きだ。