2010年1月7日木曜日

概論嫌い

昨日は教授会。今日は別の会議。授業はまだだが既に仕事は始まっている。憂鬱だ。

今日は卒論と修論の提出日初日。明日まで。提出に来た学生何人かに出会う。初日に提出なんざ、偉いじゃないか。と感心しきり。

この間仕上げた原稿のための「はじめに」を書いて送付。いつまでも書けないのは別の原稿だ。

概論が苦手なのだ。何というか、概論が要求されていることが感じられる仕事は苦手だ。概論など、誰にでも書ける、ぼくの代わりに書ける人間はいくらでもいると思ってしまうのだ。そこまで書くことを指定してくれるなら、あなたが書けばいいのでは? と言ってしまいたくなる。

もちろん、つまらない概論を書いていても誰もが個性を露呈してしまう。ぼくが書けばぼくしか書けない概論になる。問題は、そんなことはわかっているつもりでも、否応なしに出てしまう個性などでなく、何かちょっと目配せのような目立つことを、1行でいいから書きたい衝動を抑えられない。それがうまくいくとは限らないのに。で、目立つことを書こうとして、本当にそのとおりだったっけかなと確かめようとしたら、確かめられずにずるずるとフエンテスの『空気の最も澄んだ土地』をめくってみたり、ワシントン・アーヴィング『アルハンブラ物語』平沼孝之訳(岩波文庫、1997)を読むはめになったりしている。

困ったことに、そういったものを読んでいると、本来の目的ではなく、別の仕事にこれは使える、なんてことに気づいて、気持ちがそちらに移ってしまう。「ラバ追いたちは、歌い尽くせないほど数多くの唄やバラッドを知っている」(アーヴィング、19)という一節に付箋を貼って、「14日5時限の授業」とメモを取ったりしている。

授業の再開が近づいているということだよ。