2010年1月30日土曜日

30年経って戻ってきたよ

またしても休日出勤。博士後期課程の面接。対象はひとりだけなのだが、その後も何かと細々としたことをやらねばならず、四ッ谷でちょっとしたワークショップがあるのでできれば来いといわれていたのだが、もう間に合いそうになかったのでめげ、帰りしな、某デパートのバーゲンに立ち寄って、やっぱり買ってしまった、これ、スタジャン。


きのうスタジャンが欲しいと書いたのは、実は前歴があって、去年(もう一昨年か?)あたりから、久しぶりにスタジャンの存在感が大きくなってきたなと思っていたところ、担当している2年のある学生が、何度かスタジャンを着てきたので、授業の始まる前の雑談で、まだスタジャンの流行は続くかな? と尋ねたところ、続きます! と感嘆符つきで請け合ったものだから、セールの時期だし、買っちゃおうかな、なんて思い始めていたところだったのだ。

第三次アイヴィ・ブームと呼ばれていたと思う。「みゆき族」や「ニュートラ」から区別するためにプレッピー・ブームとも呼ばれていたような気がする(「プレッピー」というのはプレップ・スクールの生徒の意。つまり、J・D・サリンジャー『ライ麦畑でつかまえて』の主人公ホールデン・コールフィールドが退学になったような名門私立寄宿学校)。ともかくそんな雰囲気があった高校時代、なけなしの小遣い(お年玉だか奨学金だか)を貯めて買ったのが、胸にV(Vanguard)のロゴも鮮やかなVANのスタジャン。ぼくはこれをメキシコに行くまでの10年ばかりの間、トレードマークのように着ていた。


たとえばこれは1984年4月17日、大学に入りたてのころ、新入生オリエンテーション旅行帰りの、修善寺から沼津に向かうフェリーの上でのスナップショット(部分)。チノ・パンツ、ボタンダウン・シャツ、スタジャン、メッセンジャー・バッグと、やれやれ、今と何ら変わらないじゃないか……眼鏡は今では伊達ではなく、凸レンズの入ったものに成り下がり、髪だってこれでもだいぶ薄くなっているけれども、カメラに向かって舌を出す無礼さも、相変わらずだ。ぼくはこの30年間、いったい何をしていたのだろう?

しかも、買ったのはまたしてもVANのスタジャン! だったのだけど、腕の革張り部分も見頃のフェルト部分も黒のものを選んで、少しは大人っぽくしてみた。この色使いの違いだけが、ぼくの30年の人生の成果。喜んでいいのか悲しむべきなのか……