ペドロ・アルモドバル『抱擁のかけら』(スペイン、2009)
最終日にかろうじて。2008年現在から見て14年前の、ある失敗した映画の記憶を、その映画の成り行きから起こした事故で視力を失った元映画監督(現脚本家)が回想し、その傷から癒え、編集し直すという話。失敗した映画というのが、アルモドバル自身の『神経衰弱ぎりぎりの女たち』を一部パロディ化しながら再現するようなもので、ロッシ・デ・パルマやチュス・ランプレアベなども出演。
最後のセリフは「映画は終わらせることが大切。たとえ手探りでも」というような内容だったが、「手探り」というのが、a ciegas(盲目の状態で)という表現で、なんだ、要するにダジャレか、と……
しかし、ところで、エンドクレジットをぼんやりと眺めていてぼくはびっくりした。COMPOSICIONというスタッフの一員にソンソーレス・アラングーレンの名が! 『エル・スール』で8歳のエストレーリャを演じていた彼女だ。
撮影はゴンサレス=イニャリトゥと組んで知られるロドリゴ・プリエト。