先日告知の図書館主催、堀江敏幸講演会。「散文について――読むことと書くこと」
なかなかの入りであった。「散文とは木村拓也(巨人)である」とか「ネズミは温泉が好き」といった話を。
……などと書いたら、なんだか思い切り話の内容をゆがめているように思われかねない。要するに、書き出すまでの心構えの柔軟さをいかに保つかという話。
図書館長には、彼の短編「送り火」がかつて、センター試験に採用され、受験生たちは大いに感動したという話を吹き込んでおいたら、最初の挨拶でそのことを紹介された。すると堀江さんはそのことから語り起こされた。あまり快くは思っておられないようではあったが。でも会場には、少なくともぼくの知り合いの学生で、まさにその試験問題で彼に興味を持ったという者がひとりふたり来ていた。