大学院の2次面接。5件。
最後はフランス語の文学文化学コース志望の学生の面接。終わってフランス語の先生たちに色々と彼らの入試問題などのお話を伺う。うーん、難しすぎるから敬遠されるのかなあ、などと。ふむふむ。難しさではスペイン語も遅れを取りません。こちらも敬遠されているのかもね。
フランス語の場合、作文の問題が自由論題(たとえば「文学におけるエクリチュールの役割を論ぜよ」)で最低でもB4の解答用紙1枚を使用するというもの。
かっこいい!
と思わず唸ってしまった。さすがは哲学を必修として思考力を問う、名だたるバカロレアの国の言語を専攻しようとする場だけはある。バカロレアもともかく、さらに上に行くとますます難しくなるもので、サルトルがまいにち何ページも書く習慣をつけたのは、厳しいアグレガシオン(教授資格試験)の論述試験に備えてのことだといっていたものな。"Nulla dies sine linea"(1行たりとて書かざりし日なし)というプリニウスのアレだな。
ぼくもいつかこんなかっこいい問題を作りたいものだ。どこかに書いただろうか? ぼくの学生時代、「スペイン語学概論」という授業の学年末試験は、決まって試験最終日、9時から5時までの時間が割り当てられ、その間、何をしてもいいからたったひとつの論述問題に答えるというものであった。この先生に対しては色々と言いたいことがあるし、その授業に熱心に通ったわけではないが、それでもこうした試験は好きだったな。何というか、ぼくの知的体力が試されているような気がして、嬉しくなった。わくわくした。試験が祝祭であることの証左だと思った。
ま、受験する方としてはきつくもあるけどね。でも、なあに、それくらいものともしない気概がなければ大学院では生き残って行けない。君たち! 東京外国語大学大学院 言語文化専攻 フランス語を目指せ! 気概を示すのだ!
あ、もちろん、フランス語をやるなら、ということ。フランス語よりスペイン語を目指せ、というのが、ぼくの立場……とりあえず……表向きは……