つい最近まで東京—奄美間の飛行機は比較的早い時間(8時とか9時。以前はさらにもっと早い、7時台だった)に出発していたのだが、このたびのJALのリストラなどが関係しているのか(そういえばこの路線、以前はTDA東亜国内航空=JAS日本エアシステムのものだった。これを吸収したこともJALの悲劇の要因のひとつなんだろうな)、11:00発となった。いつもの時間に起きても間に合う。これは助かる。
羽田空港の10番搭乗口というのが、今日割り当てられたゲートだ。早めに行って座っていると、三々五々、乗客が集まってきた。737-800という機種の収容人数がどれだけのものかは正確には知らない。6席×25列くらいの小さな飛行機ではある。それが満席になる程度の客はいるが、こんな日にこんな路線に乗り込む者は大抵が帰省客だ。あるい帰省する親に連れられた子供、親の田舎に遊びに行く都会の子供など。いずれにしろ、南方系の血を引く者たちだ。10番搭乗ゲート付近だけ、一気に平均身長が低くなり、色黒になり、顔の彫りが深くなる。
空港のロビーの宙づりにされた時間、というような話から語り起こしたのはジェイムズ・クリフォードの『ルーツ』だっけかな? 正確にはそこに何と書かれていたかは覚えていないけれども、ここは既にして奄美空港到着ロビー羽田出張所になっているな、などと考えていたら、向こうから手を振る女の子……じゃなくて、ご婦人。
中学時代の同級生だった。やっばりね。こういうことがあるんだよな。下の子が高校受験でね、早くから帰るわけにもいかず、乗れるのは今日くらいしかなかったのよ、と。
他に、高校の後輩(寮でいっしょだった)に声をかけられたりした。厚生労働省の年金局の局長だかなんだか、立派な職についておられた。ああ、えらいなあ……