2010年8月5日木曜日

複雑な愛

ツイッターでフォローしているある人物が、『読売』のオンライン上のこの記事にリンクを貼り、まるでインターンよりゼミを優先させることが悪いみたいじゃないか、と疑義を呈していた。記事になっているのが自分の勤める大学なだけに驚いた。

後で『朝日』を見たら多摩版(13版31面)に同じ記事が出ていた。ちなみに、この記事についての説明は大学のサイト、トップページにも既に掲載されている。ぼくはこの40歳代女性准教授というのが誰のことなのか知らないし、特に彼女を擁護も非難もしない。よく知らないのだから。

『読売』よりも『朝日』の記事の方が少しだけ詳しい。「複数の学生が通学できなくなるといった精神的被害を受けたという」との説明を加えている。さらに、「准教授は、2008年から10年にかけ、学部生、大学院生をゼミで指導する際、同じ内容について長時間しかったり、外国で言葉を学ぶインターンシップへの参加の予定がある学生に対し、その期間内にゼミの発表を割り当てて参加できないようにしたり、威圧的な言動を繰り返したという」と続く。

「外国で言葉を学ぶインターンシップ」とは何だ? なんだか企業がただ働き同然で学生に就業経験をさせるというアレとは少し異なる様相を呈しているようだ。都合が悪いのなら学生から申し出てなぜ順番を変えてもらわないのだ、との疑問が残るが、たぶん、「威圧的な言動」におびえて言い出せなかったのだろうな。もちろん、企業が大学の都合も考えずにあたら学生をただ働きさせることにはおおいに反対ではあるけれども、一方で、学生には労働の厳しさを知れ、とも言ってやりたくはある。

でも今は一般的にインターンシップのことではない。この「外国で学ぶインターンシップ」というのが何だかわからないということだ。しかもそれは授業が開催されるような学期中にあるのだろうか? 日本とは異なるカレンダーで動いているから「外国」ならこういうこともあるということだろうか? 

こうした記事は常にそうだが、謎が残る。

でも、ところで、こんな不名誉なことでも自分のかかわる大学がニュースになると、こうして触れてみるのだから、へんなものだ。先日、ある学生がにこにこと笑いながら、「昨日ぼくの実家のある市が日本で一番気温が高かったとニュースになったんですよ」と話していた。それに類するメンタリティだろうか? 

そしてまた同時に、ぼく自身の言動が「威圧的」に受け取られていないかとの恐れもあるのか? ちょうど昨日、学生がメールをくれて、後期の卒論ゼミはあるのかと訊いてきた。あるに決まってるじゃないかと返事を書いたら、「ご機嫌斜めですか?」と尋ねられた。ぼくのご機嫌は斜めどころか、まっすぐに突っ立っていたのだが、何やら誤解を与えたようだ。

まあ大学における師弟関係の難しさは、とてもとても古くからある問題なのだけどね。