2011年11月12日土曜日

inconmensurableな世界

ちょうどひとつ仕事が終わった(正確には終わっていない。つまり、区切りがついた、という程度)ことだし、行ってきた:

国際シンポジウム「世界文学とは何か?」@東京大学

同名の本の作者デイヴィッド・ダムロッシュと池澤夏樹を迎え、柴田元幸、沼野充義、野谷文昭の東大現代文芸論教室が主催するシンポジウム。

基調講演のダムロッシュは「比較できないものを比較する——世界文学 杜甫から三島由紀夫まで」として杜甫、芭蕉、ワーズワース/モリエール、近松/三島、プルースト、紫式部、という三部構成で共約不可能(incommensurable)なものの比較を行った。

池澤夏樹は自らの編んだ河出書房新社の「世界文学全集」にこと寄せて、現代の世界を表したかったと述べた。ダムロッシュの本に勇気づけられ、自分が読んできたその行為こそが世界文学であったのだと気づかされた、とも。

ふたりの基調講演の後は名前をあげた全員が登壇し、まず迎える側の3名が、それぞれ自分の側からのコメントや質問を発し、後にフロアからの質問を受け付けた。

休憩を挟んで、4時間以上の長丁場。楽しいひとときであった。フロアからのコメントには翻訳家や作家などが手を挙げ、なるほど、「翻訳によって豊かになる」世界文学への関心の高さをうかがわせたのだった。

incommensurable:スペイン語ではinconmensurable。いつも訳に困る単語だ……と思って『リーダーズ英和辞典』を引いたら「同じ基準で計ることができない」とあった。あれ? リーダーズの定義って、さすがにわかりやすい。

そういえば、噴水が勢いよくあがっていたが、写真を撮ったら直後に止まった。ぼくがとどめを刺したみたいだ。