2011年2月4日金曜日

完結

リカルド・ピグリア「短編小説についての命題」完結だ。

           X
ボルヘスが短編小説の歴史に導入した重要な変種はプロット2の暗号化された作り方を作品のテーマにしてしまうといことだ。ボルヘスが語るのは、誰かが目に見えるプロットの材料を使って倒錯した喜びを覚えながら秘密の話を作っていくそのしかただ。「死とコンパス」ではプロット2はシャルラッハが考えたものだ。「死んだ男」のアセベド・バンデイラも同じことをする。「裏切り者と英雄のテーマ」ではノーランがそうだ。

ボルヘスは(ポー同様、カフカ同様)語りの形式の問題を逸話へ変えてしまうすべを知っていた。

XI
短編小説は隠れている何ものかを人工的に出現させるために構築される。生の不透明な表面の下に隠れたある真実を見せてくれるたったひとつの経験を常に新たなしかたで探し求める、そういう探求だ。「見知らぬものを遠くの未知の土地にではなく、手近なものの真ん真ん中に発見させてくれる瞬時のヴィジョン」とランボーは言ったのだった。

その不敬な幻覚が短編小説の形式に変じたのだ。

今日は1時限に授業内試験を行い、これで金曜日は全日程を終えた。