入試の2次試験。監督。外語は2科目だけなので(ちなみに、ぼくのときは3科目。そしてもちろん、センター試験の前身の共通一次は一律5教科7科目受けねばならなかった。念のため)、1日で終わる。実際、1日で終わった。
300人以上収容の最大の部屋での監督ははじめてのこと。300人以上といっても、ぎっしりつめての話。入試の場合は間を空けるから、180人ばかり。余裕を持たせて160数人の部屋だった。全員がロシア語専攻の受験生。
ロシア語専攻は英語専攻やスペイン語専攻同様、最大多数派。入学定員70人、前期日程定員50人。3倍強の倍率だから、この人数になる。おのずと疲れる。実際、疲れた。
大学に行って受け取った。ご恵贈いただいた本。坂田幸子『ウルトライスモ――マドリードの前衛文学運動』(国書刊行会、2010)
デザインがとてもかっこいい本だ。
ラファエル・カンシーノス・アセンス(マルガリータ・カンシーノ、つまり、リタ・ヘイワースの遠縁の親戚に当たるそうだ!)によって創始されたスペインの前衛詩運動ウルトライスモ。若きボルヘスがこれにかぶれ、アルゼンチンに帰国後、アルゼンチン版のウルトライスモを立ち上げたことで知られるこのムーヴメントをたどった本。
かつて『モダニズム研究』(思潮社、1994)という分厚い VA (多数の著者)の研究書に「ウルトライスモ」という文を寄せていた著者のその後の研究の成果がまとめられた一冊。『セルバンテス』、『グレシア』、『ウルトラ』といった当時の雑誌の復刻版の出版や電子化によって可能になった章などを含み、最後はボルヘスやメキシコのエストリデンティスモ(「絶叫主義」というのが集英社の『世界文学大事典』の採用している表記)にまで目配りを見せる。
エストリデンティスモの幻影を追う者たちの小説の翻訳を出版しようとしているぼくには貴重だ。
ボルヘスは、実際、若いころ、「ウルトライスモ宣言」などというのを書いている。「それがウルトラの美学だ」などとその文章を結ぶものだから、何だ、M78星雲の美学か? と揶揄されたとか。
あ、
……もちろん、……
冗談、
です。