法政時代には試験期間ごとに三度ばかり他人の授業の試験監督をしなければならなかった。外語に移ってからはそういうことはなく、たまに准教授以下の教員が人数の多い授業の試験監督手伝いにかり出されるとのことで、ぼくは異動後、今日が二度目のその手伝い。
ソ連・東欧地域社会論という題目の授業。非常勤のY先生の担当だ。主にロシア語専攻や、チェコ語、ポーランド語などの学生が取っている授業。中に数人、スペイン語の学生がいた。あるカテゴリーの授業として受講すればそれも可能だ。
問題を配りながら、2人もの学生から「兄弟ですか?」と尋ねられた。しかもそのうちひとりは、今年、ぼくが分担するふたつのリレー講義を受講していて、レスポンスシートに、「この間の授業でもそうですが、今回もよくわかりませんでした」というようなコメントを書いていた学生。ということはぼくが誰だか認識しているはずで、YはYでも、この授業担当のYさんとは違う苗字だということが分かっているはず。それなのにぼくに向かって「え、兄弟じゃないんですか?」と訊くんだものな……
監督しながら、この授業担当者と兄弟であることの可能性を考えてにまにまとしていた。
……あまり気持ちのいいものではない。