2009年5月6日水曜日

記憶の展開Desarrollo de las memorias

ある本を書いている。35個の項目について4ページずつ書いて、本文合計が140ページの本になるというもの。今年中に出すつもりだ。今日、10個目の項目を書いて送信した。

そのために、もう何度目になるだろう? トマス・グティエレス=アレア『低開発の記憶――メモリアス』Memorias del subdesarrollo(キューバ、1968、Action / UPLINK)を見る必要があった。

見るたびに何か発見があるから面白い。今日楽しんだのはフィルムの早送り。少なくとも音声の早送り。そして繰り返し。繰り返しといっても、セルヒオが女優を目指すエレナに対して、女優なんて同じシーン、同じセリフのくり返しだと言うときに挿入され、何度も反復される他の映画からの引用のことではない。

そしてまた改めて感づかされることは、この映画を統率するイメージは、主人公セルヒオの住む高層アパートからハバナの街を見下ろす眺めなのだということ。

この映画から26年後にグティエレス=アレアが撮った『苺とチョコレート』で、ディエゴの住むアパートから街を見下ろしながら、崩壊するハバナの街の美しさを説くシーンがあるけれども、あれと対をなすイメージだということがはっきりわかる。