ぼくにも先生と呼べる人がいる。
そのうちのお一方が3月で慶応大学を定年退職されたので、その祝賀会を弟子筋で執り行った。それが昨日(7月31日)のこと。
清水透先生というその方は、ぼくが大学に入学した年、メキシコ民俗学史上重要な本であるリカルド・ポサス『フワン・ペレス・ホローテ』を翻訳し、かつ、この本でインタビューされているフワン・ペレスの息子にご自身がおこなったインタビューを編纂して続編として付し、『コーラを聖なる水に変えた人々』というタイトルで出版された。現代企画室インディアス群書の第1回か2回の配本だったはず。大学1年だったぼくは当時まだガリ版刷りだったサークルの機関誌にこの本の書評を書いた。サークルに協力してくれていた大学院生たちが先生にその機関誌を持って行って見せたようで、書評は著者の知るところとなった。
ぼくは彼のいわゆる教え子ではないけれども、やはり喜んでくださったのだろう。その後、初対面の人にぼくを紹介するたびにこの話をする。たいして面白い書評でもなかったと思うので、こちらとしては照れるばかりだが。
『コーラ……』を出したころ、先生は今のぼくよりも若かった。
宴は恵比寿のメキシコ料理店《エル・リンコン・デ・サム》で行われた。タクシーで帰宅し、ベッドに潜り込んだときには3時近かったと思う。