しかしそういえば、数年前にはやった韓国のドラマの主人公も「ペ」だった。あまり「ペ」をスキャンダラスに感じることもないな。――昨日の記事を書いてからそう思い直し、では「ペ」の受賞を祝って、何か「ペ」の出た映画を……おお、そうだ、アスセナ・ロドリゲス『捕らわれた唇』(スペイン、1994)などはどうだろう。
そう思って近づいたら、なんと! となりには、カルロス・サウラ『カラスの飼育』(スペイン、1975)があるではないか! これがDVDになっていると知らず、つい最近気づき、手に入れたまま見ていないのだった。当初の目的からはずれるが、これにしよう。
両親を相次いで亡くして叔母に面倒を見てもらうことになった3人姉妹の次女アナ(アナ・トレント)が、優しかった母(ジェラルディン・チャプリン)と彼女を裏切った父を思い出し、叔母の暴君ぶりに馴染まず、耐えきれず、殺人を計画するというもの。回想と現在とが混在するその手法がなかなかいい。
これを見るのは実に20年ぶりくらいで、ストーリーもおぼろげだったのだが、挿入歌ジャネットの「だってあなたがいないから」"Porque te vas"は鮮明に覚えていたものだ。
原題はCría cuervos 。これは"Cría cuervos, y te sacarán los ojos"(カラスを育ててみろ、目をくり抜かれるぞ)ということわざの前半部。「飼い犬に手をかまれる」というやつだな。「犬」ではなく「カラス」であるところなどは、もっと教訓的な意味合いが強いというべきか? 「だから言わんこっちゃない。カラスなんざ飼わないことだ」という意味か? しかも目をくり抜かれるなんて!
カラスを演じるのが『ミツバチのささやき』から2年後のアナ・トレント。目のくり抜き方がいい。