2015年8月11日火曜日

山形とチリに共通点があるとすれば、海に面していること? だけではない……

試写会に呼んでいただいたので、パトリシオ・グスマンの2つの作品を見てきた@ユーロライブ@ユーロスペース。

『光のノスタルジア』(フランス、ドイツ、チリ、2010)と『真珠のボタン』(フランス、チリ、スペイン、2014)の2作品。監督本人が2部作だと位置づけるこの2作を、今度、岩波ホールで2本立てで公開するのだそうだ。

『光のノスタルジア』は山形国際ドキュメンタリー映画祭最優秀賞受賞作。アタカマ砂漠にある天文台で天体観測する者、アタカマ砂漠の地層を観察する者、アタカマ砂漠にピノチェト軍政時代に行方不明者となった家族の骨を探す者。三者三様の過去がチリの砂漠にある、という話。

『真珠のボタン』は水の話。ベルリン映画祭で銀熊賞脚本賞を受賞。西パタゴニアの先住民のボタンにまつわる2つの記憶(植民地時代とピノチェト時代)が水を媒介として語られて鮮やか。水語、と言えばいいのか、idioma de aguaを先住民から学び、発する文化人類学者が印象的。そして、なんと言ってもここにはラウル・スリータが出てくる。ボラーニョの愛したあの詩人が。ニューヨークで飛行機詩というのを実践し、『アメリカ大陸のナチ文学』最後のエピソード、ラミレス=ホフマンに発想を与えたあの詩人が。


『真珠のボタン』は今年の山形映画祭のコンペにも出品されている。今年、山形では彼の『チリの闘い』3部が上映される。『チリの闘い』のみならず、ヘティノ/ソラナスの『竈の時間』など、充実のラインナップだ。