2021年9月14日火曜日

いったいどこの国の話なのか? 

デヴィドヘア作、常田景子訳、坂手洋二演出出演『悪魔をやっつけ——COVIDモノローグ——』@座高円寺2



高円寺2というのは座高円寺の地下二階のステージのこと。


坂手洋二というか、燐光群はヘアの作品をよく取り上げているが、その取り上げる作品がヘア本人が出演し、実際の人物も実名で登場するという、いわば近年のオートフィクションに対応するかのようなつくりが気になって見てしまうのだな。今回は、アフタートークでの話によると、役者たちでの普通の劇にしようと思ったが、役者が難色を示した(難しい、覚えられない、と)ので坂手本人によるリーディング公演にしたとのこと。これはいわば追加公演だ。


デヴィドヘアはTVドラマの編集作業中にコロナウィルスに感染したようで、そのときの様子、病状の経過を報告しつつ、その間にイギリス政府によって取られた政策への批判を展開するというもの。


ボリスジョンソンは当初この流行を重要視せず、肝心な時期に公邸別荘で一方で離婚手続きしつつ他方で新たな妻の懐妊を祝っていた、などという事実は知らなかったことだが、まあともかく検査を広げるという判断をしなかっただの、当初は感染者への偏見があっただの、その後(ジョンソンの罹患後)感染者が英雄扱いされだの、以前から看護師の待遇を悪くしていたそのツケが回ってきただの、大臣どもが凡庸、いや無能だだの、まったくこれはどこの国の話だ? 日本のことではないのか? と叫びたくなるような内容。快哉を叫び、同時に暗鬱な気分になる。


デヴィド・ヘアのオートフィクション的モノローグにはリーディング公演という形式はよく似合っていた。



高円寺は決して初めてではないのだが、なかなか可愛らしい店などがあったぞ。