2017年4月29日土曜日

知的生活の方法……? 

この間死んだ渡部昇一みたいな表題を掲げてしまった。

たとえば何かの文章を書くことになったとする。そうすると僕はまずマックのデスクトップ上にそのためのフォルダを作る。〆切りとお題、制限があれば字数か枚数も書いてそれをフォルダ名とする。そこにその文章のための文献一覧表やメモを入れていく。

メモには2段階ある。

1)カード
2)パラグラフ

論文マニュアルなどではカードを取れと教える。1項目1枚で書誌情報やら引用やらメモやらを書いて行けと。ノートにその役割を持たせてもかまわないが、京大式カードというのがあるぞ、と。で、そのカードを並べ、めくり、並べ替えたりしているうちに論文はできる、と。

でも実は、それだけでは論文はできない。このカードと実際の論文の間にパラグラフ・ライティングというのがある。そう教えてくれる論文マニュアルもある。僕がいちばん感心したのは栩木伸明の『卒論を書こう』(三修社)

で、ある時から僕もカード(というかメモ)を取りっぱなしでなく、それをもとにひとつの段落を作ってファィルにしておくことにした。そうしてみると、実際、〆切り前の苦しみがなくなった。かなり減じた。

さて、もともと手書きか、せいぜいワープロソフト(清書用にしか役に立たない)を使っての執筆から開始した僕らにとって、常に悩ましいのは手作業だったものをいかにPC上での作業に移行するか、だ。

僕は今でも読書中は手書きでメモを取ることが多い。京大式カードではなく、大抵はモレスキンのノートに書くのだ。大きなテーマ(あるいはゼミの授業で読むもの)だったらそれ専用のノートを使う。ともかく、ノートだ。それに手書きで書く。そのノートに加えてワープロファイル(本当はこれにもいろいろ紆余曲折があったが、最近は、諦めて、もっぱらWord (for Mac)を使っている)で作ったパラグラフの二段構えで作業を進める。

しかし、ある時からメモ(カード)も電子化した方がいいだろうと考えるようになった。たとえばひとつの引用からすぐにパラグラフが書けるとは限らないのだから、ただ引用だけを書いておくようなメモ。つまり、カードだ。

ここで問題が生じる。僕は貧乏性だ。ただの一行の発想のメモや書誌情報のためにワープロソフトの1ページを丸々使うのは憚られる。書誌情報は最初から文献一覧を作るためにファイルを作るとしても、メモや引用は…… こんな人のためにデータベースソフトなどはあるし、過去、いくつかそれらを導入したことはあった。しかし、それらのメモからコピー&ペーストで文章に利用しようとしてもフォントやポイント数が違ったりして面倒だ。僕は手書きのノートからファイルに手入力するのは厭わないタイプだが(それでも手書きメモをスキャンするだけのこともある)、どうせPC上で処理するのなら、一度入力したものを実際の文に組み込むのにはコピー&ペーストでなければ意味はないと考えている。メモ(カード)と文書の書式は最初から統一していたい。だから下手に新たなソフトを導入するより、もうすべてWordでやってしまおうというのが、最近の考えだ。

で、ふと思いついたのだ。Wordは書式設定ができる。もともと文章も自分の好きなレイアウトに設定して使うのだから(A4 余白は上下30mm、左右25mm。フォントは日本語がヒラギノ明朝、欧文はTimes New Roman、ポイント数は12。40字×30行。400字詰め3枚相当)、ひとつカード用の書式を設定しておけばいいのだ。そうして作ったのが、これ。


実際の京大式カードはB6サイズなのだが、これは一応、A5横長のレイアウト。少しサイズは違うけれども、うむ、確かにカードっぽい。字数やマージンは異なるけれども、フォントとポイント数は文書の設定と同じなので、コピペも齟齬を生まない。短いメモでもこれなら良心の仮借を生まない。