2015年6月19日金曜日

わが心のマリア

ボルヘス未亡人マリア・コダマさんが来日した機を捉え、講演をお願いした。タイトルは「ボルヘスの記憶」。

今回は通訳をつけて開催。80人くらい入る教室がかなりいっぱいになった。

不眠と盲目による闇、闇の中での記憶の存在を結びつけ、短編「記憶の人フネス」を「自伝的」作品として分析したりと、示唆に富む本格的なボルヘス論。充実したひとときであった。写真は会場からの質問に耳を傾けるマリア・コダマ。

まだ会場が暖まらないうちに、1枚1枚の葉っぱを記憶し、一瞬一瞬を記憶するフネスがある1日の思い出を語るのにまるまる1日を要するというのは、笑っちゃうんですよね、ってなことを発言したら、いささかもおかしいことではない、深刻なことなのだ、とたしなめられた。うむ。笑うというのは絶望の笑いというか、不条理の笑いというか、そういうもののつもりだったのだが、舌足らずであったようだ。

終わって医学部棟13階、スカイツリーを正面に臨むレストラン、カポ・ペリカーノで食事。