2025年8月1日金曜日

思わず叫びたくなる映画

 アレハンドロ・ロハス、フアン・セバスティアン・バスケス『入国審査』アルベルト・アマン、ブルーナ・クーシ、ラウラ・ゴメス他、スペイン、2023


グリーン・カードの抽選に当選したので移住するためにUSAに向かったカップルが、NYの空港の入国審査で止められ、尋問を受ける。ふたりは事実婚のカップル。そして当選したのは妻エレーナ(クーシ)の方であり、夫のディエゴ(アマン)は、その夫としての身分で入国するつもり。そのことから始まって、いろいろと疑いの目を向ける審査官にふたりは追いつめられる。審査官バスケス(ゴメス)はスペイン語を解するため、スペイン語、カタルーニャ語、英語入り交じりの展開となる。

 

ディエゴはベネズエラからスペインに移住した人物で、そのことはエレーナも知っていたのだが、ベネズエラ滞在時から、いろいろなルートでUSA移住をもくろんだことがあっらしい、そうした履歴が明らかにされ、疑心暗鬼が高まる。

 

監督たちがベネズエラからスペインに移住したときに経験したことを基に発想したそうだ。それがさらにUSAへの移住となると、ましてやトランプ政権期の現在(冒頭のバルセローナの空港に向かうタクシー車内のニュースがトランプの例の壁のことを伝えている)、さらに障壁は高くなり、尋問への苛立ちは増す。かつてダラスの空港で、ここまで厳しくはなかったものの、別室でいろいろと質問され、乗り換えが危ぶまれた(間に合ったけど)僕としては、本当に身につまされる。何度もそのときの碇を思い出し、叫びそうになった。


ディエゴはベネズエラ人だが、それを演じるアマンはアルゼンチン人。しかし、ベネズエラ風のしゃべり方を実にうまくやっている(少なくとも僕にはそう聞こえる)。


今日が公開初日。池袋シネリーブルにて観賞。


写真は先日現代文芸論研究室で行った合宿の宿泊所裏の滝。涼しそう。