2018年8月8日水曜日

双子に魅されて



元モデルのクロエ(マリーヌ・ヴァクト)が原因不明の腹痛を抱え、精神科医にかかる。その医者ポール(ジェレミー・レニエ)と、診察終了後恋仲になって同居を始める。すると街中でポールに瓜二つの人物を見かけ、怪しんで調べたところやはり精神科医のルイであった。嘘をついて彼の診察を受け始め、実はポールとルイは双子の兄弟であることがわかった。ルイは診察も性格も利き手までポールとは正反対で(いわゆるミラー・ツイン)、弟への敵意をむき出しにする。ポールは姓を母親のものに変えていて、双子の兄がいることすら話そうとしない。疑心暗鬼に陥り、かつ、ルイの診察の名を借りた性的な脅迫に屈し、腹痛が再発する。

ミステリというわけではないが、いわゆる「ネタバレ」をしたら非難されそうな展開なので、ストーリーについてはこれ以上は語らない。カタストロフが収束し、ハッピーエンディングを迎えるかと思われるころ、男がタバコをくわえるシーンがある。それが解釈の二重性を生むところ。あるいは、その後の濡れ場もそうか? 前半部でルイが語る三毛猫についての蘊蓄が、実は物語の説明となっているのだが、そのことの科学的信憑性についてはよくわからない。

ジョイス・キャロル・オーツLives of the twins から自由に着想を得たと書いてあるのだが、これは短篇集のタイトルだろうか? 邦訳では『とうもろこしの乙女』にも双子を巡る短篇が収録されているらしいが……はて? 事前の調査を怠っていたのだった。というか、事前には知らずに行ったのだが。