2017年2月14日火曜日

2月14日はふんどしの日だそうだ


フリオ・リャマサーレス『黄色い雨』木村榮一訳が、新たに翻訳された短篇ふたつを含む文庫本になって河出書房新社から出版された。めでたい。

何年か前(ひとつ前の記事の花嫁が3年生の時)、ゼミで同じ作者、同じ訳者の『狼たちの月』とこれを読もうということになったとき、まだ発売1年にも満たなかったソニーマガジンズの親本が既に手に入りにくい状態になっていて、ずいぶん面食らったことがある。こうして文庫本になってくれると学生にも勧めやすく、助かる。

が、そんなことより、今はこれ:

佐野勝也『フジタの白鳥――画家藤田嗣治の舞台美術』(エディマン/新宿書房、2017)

著者の佐野勝也は大学時代の先輩だ。大変な人だったので、僕は晩年、少し距離を置いていたが、ともかく、一時期、一緒に仕事をしたりした仲には違いない。そんな佐野さんの絶筆。早稲田大学に提出した博士論文を本にすべく書き直している途中、亡くなった。

冒頭に日本における『白鳥の湖』初演の舞台美術をフジタが務めたことと、その経緯、そしてその舞台の詳細が紹介される。それから時代を遡ってパリ時代にバレエ・リュスやバレエ・スエドワらに関わり、どんな活動をしたかが順に述べられる。そして日本時代、ミラノのスカラ座での『蝶々夫人』……

どれも貴重な資料に裏付けられた記録で、画家フジタのこれまで知られてこなかったもうひとつの顔が明かされている。図像もふんだん。

フジタのことはカルペンティエールも折に触れて書いている。パリ時代、彼らは面識があったはずだ。少なくとも同じ場に居合わせたことは何度となくあった。そしてリオデジャネイロで個展を開いた1931年にはアルフォンソ・レイェス夫妻が彼に似顔絵を描いてもらって喜んでいる。


フジタは当時既に生きる伝説だったのだ。ピカソのように……