2013年2月10日日曜日

iTunesに学問を学ぶ


最近、同僚とiTunes U の話をしたのだった。iTunesストアで無料もしくは限りなく無料に近い安価でいろいろな大学が配信しているコンテンツのことだ。ちょっと前にNHKがマイケル・サンデルの授業を放送して話題になったが、あんな感じで授業の様子を伝えるものだったり、何らかの文化活動の記録だったりを配信する。

たとえばUNAM(Universidad Nacional Autónoma de México: メキシコ国立自治大学)は作家に自作の一部を読ませたものを配信したりしている。Jordi Soler, La fiesta del oso を今年度前期、大学院の学生と読んでいたのだが、作家自身がその第1章を読んだものを聴くことができるのだ。

あるいはモンテレイ工科大学の「アルフォンソ・レイェス講座」の講演の記録など、ぼくは聴いたり見たりしている次第。

たとえば先日ここで報告した講演会とか、他大学に聴きに行ったのだが、誰かの最終講義とか、そんなものをどこの大学もこうして発信すればいいのだと思う。

で、昨日見つけたのがイェール大学の配信するLiterary Theoryの授業。iTunes Uでなくとも大学のサイトでも見ることができる。こちら。(ロベルト・ゴンサレス=エチェバリーアによる『ドン・キホーテ』講義もある!)

ぼくだって文学と名のつく授業をやっていて、具体的なテクストを扱うわけで、そのさいに理論など参照しながらテクストを読んでいくわけだが、ぼく自身は文学理論と名のつく授業をやったことも受講したこともないから、人がどんな授業をしているんだろうというのは、とても気になる。ましてや名にし負うイェール大学だ。ひところ、「イェール学派」で名を馳せた、脱構築読解の牙城だ。気になるじゃないか。

と思って、ちょっと観、聴いてみた。授業の中身よりも前に、なんだか気取った発音するな、というのが気になった。これを担当している英文学ロマン主義の専門家Paul Fry先生は。いや、実際に気取ったものなのかどうかは知らないが、ぼくにはそう響く発音。嫌いではないのだよ、念のために言っておくと。で、ときどきひとりで笑ったりもするし……さらには、意外に講義の、いわゆる講義の形式だし、細かい議論に立ち入っているのだな、と、そんなことばかりが気になるのだった。