7月27日にはロベルト・ボラーニョ『第三帝国』の翻訳出版が予告されている。拙訳だ。
版元・白水社のサイトでの紹介は、ここをクリック。
380ページと書いてあるが、実際には、都甲幸治さんによる解説と僕のあとがきまで含めると400ページくらいにはなるはず。ボラーニョ・コレクションでは最も長い作品だ。
〈第三帝国〉という実在のウォーゲームを、コスタ・ブラーバ(カタルーニャの海岸)のある町のホテルでプレーするドイツ人青年の話だ。ウォーゲームというのは、実在の、あるいは架空の戦争をモチーフにしたボードゲームだ。
翻訳するに際して〈第三帝国〉を入手して馴染みたいと思ったのだが、叶わなかった。
その代わり、「第三帝国の最期」という類似のウォーゲームは入手した。『コンバット・マガジン』によるもの。名前からわかるように、ナチス最後のベルリンの攻防をモチーフにしたゲーム。
こんな盤の上でプレーする。実際の地図(けっこう大きい。テーブルいっぱいに広げることになる)を分割する「へクス」と呼ばれる六角形のマスに
こんな駒(歩兵師団、航空部隊、といった軍のユニットと、その能力などを書いたもの)
を配置し、ターンと呼ばれる攻撃回を交互にプレーしてゲームを進める。〈第三帝国〉は季節がひとつのターンになっているようだ。
小説『第三帝国』後半では〈火傷〉と呼ばれる謎の青年と主人公が毎日1ターンずつゲームを進め、その戦況説明がなされる。それが、現実の生活とあいまって主人公を追い詰めていく過程が緊迫感を湛える。
このゲームをしながら、ぜひとも、読んでいただきたく。