薦めた以上は行ってみた。守山真利恵演出『この村に泥棒はいない/コルネリア』プレヴュー公演。
この順番で書かれてはいるが、演目としては逆の順。シルビーナ・オカンポの「鏡の前のコルネリア」、そしてガルシア=マルケスの「この村に泥棒はいない」をそれぞれ脚色した劇を、むらさきしゅう、鎌田紗矢香の2人芝居で。
受付というかホワイエ(と呼ぶべき狭いスペース)は写真展のようになっている。開場すると実際の演技スペースの前にもう一部屋あって、そこにも写真が飾ってあるが、ひょっとしたら役者かもしれない男女(事実、役者)が中心に立ち、座っているので、見て回るのが憚られる。奥の部屋ですと紹介されて入ったスペースには、これが客席だろうと予想される丸椅子が9脚並ぶだけ。舞台装置は姿見に丸椅子、狭いクッション椅子が3脚。
なるほど、プレヴュー講演とはこういうことなのだ。
自殺願望のあるコルネリアが、泥棒や昔の恋人など(の幻影? いずれもむらさきしゅうが演じる)に向かって、そして鏡に向かって自らの人生と願望とを語る「コルネリア」では、官能と絶望、幻想が記憶に寄り添う。「この村に泥棒はいない」は『ママ・グランデの葬儀』の一部をなすマコンドものの短編。鎌田沙也香が一転、妊婦の文字どおりの身重の演技で唸らせる。マコンドの数倍の田舎に育った僕には身につまされる話。
本公演は会場を変えて行われるはずだが、2つの部屋を使った舞台作りなど、どんな風に作りかえられるのだろう?