glorietaとスペイン語の辞書で引けば、「あずまや」という訳が出てくるかもしれない。実際、あずまやのことだ。が、高度にモータライズされた現在、glorietaと言えばトラフィック・サークルのことだ。
全スペイン語圏でそうなのかは知らない。少なくともメキシコではそうだ。トラフィック・サークル。
いちばん有名なのはパリの凱旋門のあれだろうか? 四差路といわず、6つ、7つ、8つの道路が行き交う交差点で、車が円を描きながら自らの出て行く道に向かう、あれ。右側通行の場合、左隣の道に入りたかったら、ぐるっとほぼ一周回って入っていく。
別にそれがいいとは思わないが、なんだか不思議なシステムで、妙に惹かれるものがある、トラフィック・サークル。東京やその他の日本の都市では見た記憶がない。
が、そのトラフィック・サークルがすぐ身近にあることに、最近気づいた。
多磨霊園内の通路だ。ぼくはそこを最近、自転車で通っている。
定期券が切れてから、このところ、晴れた日は自転車で大学に行っている。中学以来の自転車通学。意外に好きなのだ。40分ばかりも必死にこいで大学まで行く。
中学生のころ、俺も男の子だな、と思ったのは、自転車をこぎながら、歌を歌ったり、バイクや、あろうことか車の真似してぶるるん、などと(頭の中で)唱えながら、気分はF1パイロットで飛ばしていたからだ。事実はF!に比べれば蟻みたいなスピードだったわけだが。
で、大人になって16年も自動車通勤をしていて、それをやめ、自転車で多磨霊園のトラフィック・サークルを、たかだか右折するために大回りして270度の転換で入ったりしながら、相変わらず車にでも乗っているつもりでこいでいるのだから、恥ずかしい。
もはや「男の子」ではなく、ガキだ。
ぼくはあと半年で50になる……