2020年1月3日金曜日

まだまだ映画を観よう


三が日最後の日は森達也『i——新聞記者ドキュメント』(2019)@シネマロサまたしても。

フィクション版『新聞記者』も観たことだし、ドキュメンタリー版も、との思いもあり観に行った次第。望月以塑子の活動を観るつもりでいったら、嫌になるほど醜いものをみせられた。辺野古、伊藤詩織、宮古島の要塞化問題を追いかける彼女がそれだけそうした醜いものと対峙しているということだろう。

醜いものとは望月殺害をほのめかす東京新聞社への脅迫電話(これは見たというより、聞いた)、法的根拠も告げずに望月と森の進行を阻もうとする警官たち、菅義偉、安倍晋三、麻生太郎、上村秀紀、辺野古の赤土、安倍の街頭演説中に支持者(サクラ?)によって掲げられた日韓断交のプラカード、……等々だ。感情に走りがちな僕はすんでのところでスクリーンにバッグを投げつけてしまうところだった。

籠池諄子の大阪のおばちゃんぶりには映画館も笑いに包まれた。

森達也は開高健ノンフィクション賞の審査委員も務めていて、2年ほど前に工藤律子の『マラス』が受賞したさいの授賞式後の祝賀パーティーでは「ルポルタージュではなくノンフィクションなのだから」工藤はもっと自分を出した文章を書くべきだったと辛口の評をしていた。なるほど、この人の考えるルポとノンフィクションの違いは語り手の位置にあるのだな、と理解した。映画でも最後は一人称単数を常に失わないこと、と強調していた。

ところで、フィクション版『新聞記者』の劇場用パンフレットは売り切れで買えなかったが、こちらも売り切れであった。

ローズマリー。