2018年11月8日木曜日

子供欲しい?


友人のツイッターで今日までだということを知ったので、仕事の打ち合わせを終えて吉祥寺まで出向き、観てきた。


いわずとしれたフェデリコ・ガルシア=ロルカの『イェルマ』をサイモン・ストーンの演出(脚色もか?)でヤング・ヴィック劇場で上演したものを映画としてみせるもの。通常の映画料金よりは演劇の料金に近い額での提供であった。

子供のできない女性の苦悩を描いているのはガルシア=ロルカの作品どおりなのだが、舞台を現在のロンドンに移し、うまく脚色した。ロルカ的カトリック=スペイン=地中海=アンダルシア的閉塞感に変わって、SNSやら不妊治療、ローンなどが主人公「彼女」(ビリー・パイパー)の精神を追い詰めていく。うまいアダプテーションだ。演技も素晴らしい。ガラス張りの舞台を前後から観られるようにした会場のレイアウトもなかなか。

渋谷から吉祥寺に向かう途中、井の頭線の向こう側の車両から4-5歳くらいの女の子が楽しそうに手を振ってきたので、僕も満面の笑みをたたえて手を振り返した。子供はかわいい。子供が欲しい。その気持ちは分からないでもない。でもまあ、僕はそうでもないのだが……

ウンベルト・エーコ『ヌメロ・ゼロ』中山エツコ訳(河出文庫)とその親本(2016年刊)