高所恐怖症の僕には心臓に悪い映画館に行ったら(こんなツイートをして)、
煙草の害に悩む人が嫌煙権を主張したように、シースルー・エレベータやガラス張りの壁伝いのエスカレータに悩む高所恐怖症の人たちが、そうしたアクセスを強要するビルに対して何らかの権利を主張できないものだろうかと思うことがある。— 柳原孝敦 (@cafecriollo) 2018年11月3日
観たフィルムにも僕を怖がらせるシーンがあった。
第15回ラテンビート映画祭の一環としての上映。上映後監督のベルヘルのティーチインあり。
親戚の結婚披露宴の余興で催眠術をかけ損ねられ、それを機に他の人格が乗り移ってしまったカルロス(アントニオ・デ・ラ・トーレ)に苦しめられるカルメン(マリベル・ベルドゥ)が、催眠術をかけた張本人であるぺぺ(ホセ・モタ)とともに乗り移った人格のことを調べ、解決を図るという内容。カルロスはサッカーに夢中になると周囲が見えなくなるような人物で、工事現場で働く労働者階級。典型的なマチスモの体現者で、つまりこれはカルメンがマチスモから脱却する話としても読めるだろう。だが、それ以上に、上映後のティーチインで語られたように、あらゆる要素をひとつに詰め込んで、観客を飽きさせないエンターテイメントといった趣が強い。ダンスがあり、殺人があり、高所でのチェイスがあり(そこで僕はすくむことになる)、動物まで出てくる。
マリベル・ベルドゥの表情の豊かさも印象的だ。披露宴での微笑みの表情はこの女優をたくさん観てきたはずなのに、はじめて見るかのようだった。ホセ・モタはラテンビートのプロデューサーのアルベルトみたいだったし……
今日は特に関連の書籍など買うことはしなかった。古い友人に会い、教え子と顔を合わせた。
リンクを貼るためにIMDbを検索して面白いことに気づいた。アルフォンソ・クワロンの『天国の口。終わりの楽園。』はIMDb上にもこの日本語のタイトルで出ていた。原題のY tu mamá también(おまえのお袋もな)は、原題として出ている。うーむ、これはどういうことだろう。
クワロンといえば、今日会った教え子から『ローマ』が面白いからぜひ観るといいと薦められた。Netflixは登録していないのだが、うーむ。
明日は〈はじめての海外文学スペシャル〉でお話をするのだ。まだ若干席あり。ぜひ!