2018年11月3日土曜日

咲いた咲いた♪


昨日は恵比寿ガーデンプレイス内

恵比寿ガーデンシネマで観てきた。


修道院の運営する孤児院から香辛料を商って裕福なコルネリス・サンツフォールト(クリストフ・ヴァルツ)の後妻に入ったソフィア(アリシア・ヴィキャンデル)が、肖像画家ヤン・ファン・ロース(デイン・デハーン)と恋に落ちる。一方でサンツフォールト家の料理人マリア(ホリデイ・グレインジャー)は魚売りのウィレム(ジャック・オコンネル)と恋仲である。この二つの恋の当事者のいずれの男も、当時高騰を極めバブル経済のような活況を生み出していたチューリップの球根への投資をすることになる。夫から跡取りを作ることを期待されつつできないでいたソフィアは、マリアが妊娠したのをいいことに、それで夫をだまし、ついでにサンツフォールト家も出てしまおうと、ある計画を練る。

救いがあるのだかないのだか、……不思議な話だが、一方で、文学的トピック満載で、なじみの話のようでもある。経済状況によりブルジョワが勃興し、さらに流動化するという社会変動の話でもあるようだ。17世紀のオランダが舞台で、ちょうど今展覧会が行われているフェルメールの絵などを彷彿とさせる構図と配色に満ちている。その意味で、楽しい。

原作があるということを寡聞にして知らず、館内で売っていた翻訳を買った。

デボラ・モガー『チューリップ・フィーバー』立石光子訳(河出文庫、2018)

翻訳親本は2001年、白水社から『チューリップ熱』として出たものらしい。このたび、映画化に際して文庫化されたということ。

映画ではマリアが語り手となり、結末の言葉なども、いかにも小説の締めを映画化したらこうなった、という感じかと思っていたのだが、どうも原作はソフィアが語り手のようだ。うむ。ひねりがあったのだった。

写真下に映っているのは、その前に書店で買った『ガルシア=マルケス「東欧」を行く』木村榮一訳(新潮社、2018)

ところで、なぜ「東欧」と「 」つきなんだろう?