Mi ChoriPan である。俺のチョリパンである。名前に込められたその矜恃たるや、見上げたものなのである。
コペバンのようなものにチョリーソをはさんだだけのものだ。が、メキシコのトルタをそう呼んではならぬように、アルゼンチンでポピュラーなこのメニューをサンドウィッチと呼んではならない。これはチョリパンなのだ、あくまでも。
チョリーソを挟むのだ。チョリソーではなく。
英語経由で日本語に訳す人たちが o で終わる単語を長母音にするものだから、ブリートがブリトーになった。チョリーソはチョリソーになった。が、アクセントは i にあるのだから、チョリーソの方がよかろう。ただし、チョリーソはチョリソーになってモノまで変わってしまった。単にコショウの効いた赤身のソーセージに成り下がってしまった。
さすがに〈俺のチョリパン〉を自慢するだけあって、ここにはチョリーソが乗っているのだった。チョリソーではなくチョリーソが。
ぼくは残念ながらアルゼンチンには行ったことがないので、これが本当に現地のそれの再現になっているかと問い詰められれば自信はない。が、この食感、この色、……スペインのものほど赤くなく、固まってもいないこの歯触りと匂い、後味、これをたとえばメキシコでチョリーソであると主張すれば誰も疑いを抱かないだろう(これをタコスでも食べたくなったな、と……)。そのくらいにはチョリーソである。ご主人の自家製なのだそうだ。
メニューはチョリパンのみ。プレーンが750円、野菜トッピング自由で1,000円。
潔い。
飲み物はいくつかある。
夫婦でやっているのだろうか? オープンして間もないので、手探りなのだろう。店を手伝っている女性が、食べ終わると「どうでしたか?」と訊ねてきた。「美味しゅうございました」と答えたのだった。友人がFacebookのページに「いいね!」を押していたので、気になって来てみたのだ。代々木上原駅近く、井の頭通りを渋谷方面に5分ばかり。立地もいい。