今朝最初にやっていたのは、以前宣伝した講演のための原稿書き。もしくはその草稿書き。もしくはそのための準備。昨日さんざん電車の中で声高らかに小学校の校舎が「クソ」だと罵った乗客に対して覚えた違和感を書いたのに、今日のその最初の仕事で最初にやったのは、次のような一節を引用することだった。
ある日、彼が監督と喧嘩したって言うの。なぜって尋ねたけれど教えてくれなかった。つまり、文学に対する見解の相違だという程度のことしか言わなかった。わたしがどうにか聞き出したところによれば、監督はネルーダはクソだと、ニカノール・パーラこそがもっとも偉大なスペイン語詩人だと言ったとか。そんなようなことをね。(『野生の探偵たち』上巻228ページ)
あーあ、これ訳したのおれなんだよな。人のことは言えないな。いやね、そりゃあ、これはボラーニョがそう書いたからそう訳したんだけどね……あーあ。ま、「ケツ毛の先についたクソのかけら」(下巻16ページ)よりはマシか。
『野生の探偵たち』と言えば、今日、めずらしく『朝日新聞』書評欄に『2666』の書評が出ていた。評者は小野正嗣さん。いいな。『野生の探偵たち』のときには取り上げてもくれなかった『朝日』なのに……と拗ねた1日だった。先日、訳者の方に伺ったところでは、『2666』もう3刷りが決定したそうだ。慶賀すべきことだ。
写真は、奥泉光『虫樹音楽集』集英社。短編集の1作目は「川辺のザムザ」だ! そりゃあ、買いたいくもなるというもの。