2012年11月16日金曜日

たえて日本映画のなかりせば


昨日、15日(木)、東京外国語大学総合文化研究所講演会、兼・スペイン語特別授業と銘打って、マリオ・ピエドラさんの講演会を行った。タイトルは「キューバにおける日本映画の存在と影響」。

300人ちょっと収容の大教室101が会場だったので、あまり少ないとさびしいと思っていたのだが、ある程度席が埋まったので助かった。

キューバでは、革命後の政策、および合衆国との関係、それからICAIC(キューバ映画芸術産業庁)初代長官アルフレド・ゲバラの示唆などにより、日本映画の紹介が広くなされたこと、黒澤のような「芸術映画」も多く取り入れられたが、一方で、ハリウッドの娯楽映画に対するオルタナティヴとしてチャンバラものなどもたくさん輸入されたこと(そこで最大の人気を博したのが座頭市シリーズ)、などをデータを交えて紹介された。そしてピエドラさんは、フェルナンド・ペレス(『永遠のハバナ』)、セネル・パス(『苺とチョコレート』)、レオナルド・パドゥーラ(『セブン・デイズ・イン・ハバナ』)といった、日本でもお馴染みの映画関係者の証言を織り交ぜて、日本映画がキューバ映画に与えた絶大なる影響を説いた。曰く、60年代、70年代の若者たちは日本映画で映画作法を学んだのだ。結論として、日本映画なければ、われわれはわれわれではなかっただろう、との見解を述べた。

こんな機会にしてはめずからしく学生たちも積極的に質問し、質疑応答も盛り上がったのだった。聴衆のみなさん、盛り上げてくれてありがとう。