2017年3月27日月曜日

映画を観ようとは言うけれど……


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シネ(cine)はいつから女性名詞になったのだろう? 思わず辞書を引いた。

やはりcineはあくまでも男性名詞だ。cinemaもそう。であるならば、当然シネ・エスパニョールcine español であるべき。

はて? なぜこのような事態が起こるのか? 

思い浮かんだのが、サッカーのスペイン・リーグ、liga españolaリーガ・エスパニョーラの単語としての定着。名詞と形容詞の性を持たない日本語話者が、それで、「スペインの」という形容詞は「エスパニョーラ」なのだろうとの理解したのでは、との推論。

他に類似の例があるだろうか? 

と思ったときに思いついたのは、逆の例。鈴木亜美が「アミーゴ」を名乗った例だ。アミの音からの連想なのだから「アミーゴ」でも「アミーガ」でもよかったはずだ。むしろ女性だから「アミーガ」であって欲しいところ。それなのに「アミーゴ」に落ち着いたのは男性名詞のそれが定着してしまっていたからなのだろう。

そう考えると、リーガ・エスパニョーラはよくぞ「エスパニョーラ」と女性形になったものだと思う。つまり、定着と呼べるほどかどうかはわからないにしても男性形「エスパニョール」の語はある程度流布していたように思うからだ。

おそらく、従事している人がどれだけスペイン語に敬意を抱いているかの問題なのだろうと思う。映画界におけるスペイン語軽視は本当に悲しいほどである。

たとえばこの「シネ・エスパニョーラ2017」の作品ラインナップを見るといい。

『ザ・レイジ 果てしなき怒り』
『インビジブル・ゲスト 悪魔の証明』
『クリミナル・プラン 完全なる強奪計画』
『クローズド・バル 街角の襲撃手と8人の標的』
『キリング・ファミリー 殺し合う一家』

……教えていただきたいのである。こんな立派な、すてきな副題をつけるなら、なぜそれだけでだめなのか、よりによって英語(風)転記のカタカナをつけなければならないのか、なぜここがスペイン語であってはならないのか。


単にスペイン語軽視というだけでなく、明らかにある時から映画タイトルはおかしくなってきたのだが、今、おそらく、人はそれをおかしいと思う感覚が完全になくなっているのだろう。