今の家に引っ越してきてすぐのころ、住宅街なのに行列の絶えないラーメン屋がすぐ近所にあることに気づいた。僕はラーメンにはぜんぜん執着はないし、行列のできる飲食店など蔑みの対象でしかないから、黙って前を通り過ぎるだけだった。
ほどなく、そこがミシュランでラーメン屋として初の星を獲得したことを知った。すぐにTVカメラなどが周囲を賑わすようになり、整理券制度が始まり、その整理券も朝の早い時間になくなる始末となった。外国人観光客がキョロキョロと探し回る姿も日常茶飯事になった。
繰り返すが、ラーメンにも行列にも興味はない。だから気にもならなかったのだが、僕はまた中途半端なミーハーでもある。少しはどんな味なんだろうという興味もある。
そこへ、生麺式のインスタントでこの店の味の商品が出たのを知った。たまたまスーパーを冷やかしていたら見つけたのだ。で、色気を出して買ってみた次第。
もちろん、店ではこれに具材などが乗るのだろう。トリュフを使ったものだと聞いたような気もする。僕はこの後で茹でたキャベツとネギをたっぷり入れたわけだが、ともかく、そんなわけで、その店の味そのものではないはずだが、食べてみたのだ。
うむ。美味。
これがあれだけの長蛇の列に値するとみるかどうかは、また別問題。何しろ僕は行列のできる店がいやなのだ。
でもまあ、ともかく、うまいことはうまい。