昨日のこと。
以前、英語からの重訳で翻訳、上演されたプイグ最晩年の二人芝居を今回、古屋雄一郎訳、角替和枝+美加理のキャストで。
病院の患者と付き添い看護婦の会話と、二人がそれぞれに見る夢、もしくは幻想から、二人の過去や噓が明るみに出、二人の関係がほのめかされるという内容は『蜘蛛女のキス』や『このページを読む者に永遠の呪いあれ』にも共通するし、老いと若かりし頃の夢、母娘関係などはその他の小説作品にも共通する、プイグの真骨頂とも言える劇だ。
二人芝居だ。かつ、患者が付き添いの母に、付き添いが患者の妹や娘になったりして虚実が入り混じる展開だ。役者は難しい二人芝居な上に二役・三役をこなすという難題が課される作品だ。付き添い役の美加理はその切り替えがすばらしく、当然のことながら安定の角替和枝に互してすばらしいできだった。
実は僕はこの戯曲、これまで読んだことがなく、行きの新幹線の中で大急ぎで読んで(といっても、途中まで。2幕ものだが、1幕の終わり近くまで)観劇に臨んだわけだが、とても面白い作品だと思う。繰り返しになるが、プイグの真骨頂だ。古屋訳、どこかで出版されないかな? 『蜘蛛女のキス』戯曲版は本になっているのだから、これもそうなるといいな。
静岡在住の友人たちや当の古屋雄一郎さんなどと食事して、帰京。山手線が止まっていて往生した。