やっと見に行けた。ペドロ・アルモドーバル『私が、生きる肌』(スペイン、2011)
これは2011年の作品で、舞台は2012年のトレードということになっているから、いわば近未来SFだ。
別に2012年が舞台でなくとも、完全なる整形という不可能なことを扱っているのだから、SFだ。アントニオ・バンデーラスが復讐と亡き妻への忘れがたい思いを実現するために秘密の整形手術を行う話。
ロベール(バンデーラス)の暮らすシガラル(別荘)にはティツィアーノの絵が二枚掛かっている。いずれもカウチに横たわるウェヌスを描いたもの。そのウェヌスの仕草をなぞるようにカウチに寝そべるベラ(エレーナ・アナーヤ)を、モニターで覗くロベールが、ちょうど対称を描きながらカウチに座るとき、その2枚のティツィアーノをなぞって美しい。この構図に魅入られると、もう後はアルモドーバルの世界だ。クイアでジャンキーでメロドラマ的。
アルベルト・イグレシアスの音楽も美しい。