藤沢の鵠沼高校に出前授業というのに行ってきた。高校1年生を相手に、いくつかの大学の教員が体験授業や大学の説明やらを行うという催しに参加してきたというわけだ。乗るはずだった小田急線特急ロマンスカーが前日からの雨の影響で運休(ぼくはつくづくと雨男だ)、やきもきしたが、事なきを得ず、ひとつの素材を基に、グレードによってどんなアプローチをしうるか、という話をしてきた。
今どき、大学の教員はそんなことをしなければならないのだ。この話を持ち込まれたとき、断るための正当な理由がなかったので引き受けたのだが、そうしたら次から次へと同様の授業の打診が来た。授業日のものばかりだったので、さすがに断った。断ったはいいが、ということは、これまでこの種のことを誰かがやっていたし、ぼくがやらなければ他の誰かがやることになるということだ。
大変だなあ、……
などと考えながらくだんの高校に行ったら、いただいたパンフレットの中に、「オープンスクール」のお知らせ。
うむ。高校は高校で中学生に対し、こんなことをやっているのだった。どこも大変なのだった。
高校生たちは、素直で元気で、まあ好印象だった。同時に、大学1年生ともそんなに大差はない印象。質問を受けつけたところ、「彼女いますか?」と来た。こういうところは、さすがに高校1年生だ。
君ね、その話をすると、君は泣くぞ。大人というのがどれだけの失恋の涙の上に生きているのかがわかって、大人になるつらさに泣くぞ、というのがぼくの答。