バルセロナに住んでいた少女のフリーダ(ライア・アルティガス)が母の死を機に叔父夫婦の田舎の家に引き取られ、そこで疎外感を感じながら成長する話。いとこのアナ(パウラ・ロブレス)への意地悪、叔母(叔父の妻)マルガ(ブルーナ・クッシ)への反抗など。手を焼き、いったんは投げ出そうとするマルガが、それでも優しくしてくれるところなど、大人は偉いな、と思ってしまう程度に、僕は大人よりなのだろう。
が、フリーダが家庭菜園からレタスを取ってくるように言われ、間違えてキャベツを持って行くエピソードがあったのだが、僕はそこで一気に少女に肩入れすることになる。僕もかつて、近所のおじさんにある場所からおがくずを取ってくるように言われ、間違えて別物を持って行ったことがある。そのときの疎外感は50年近く経った今も忘れていない。
この映画を見る数日前には、iTunesでレンタルが始まった行定勲『リバーズ・エッジ』(2018)を観た。周知のごとく、岡崎京子の漫画を映画化したものだ。
ドラッグ、DV、同性愛、売春、等々、少女若草はるな(二階堂ふみ)の成長の物語にここまで様々なサインを詰め込まなければならないかというほどに盛りだくさんだったのだが、それが過剰にならないためには、80年代的 “普通” のかわいい女の子・田島かんな(森川葵)が最大の狂気を発することが必要だったのだろう。一番の鍵だった。