そんなわけで、昨日、「はじめての海外文学スペシャル」というイベントに行ってきた。「はじめての海外文学フェア」というフェアがいくつかの書店で行われていて、今年が2回目なのだが、そのスペシャル・イベント。フェアで推薦人を務めた翻訳家たちのうち19人が、自分のものであれ他人の訳したものであれ、推薦の1冊を3分間の制限時間内で紹介するというもの。
「ビギナー編」と「ちょっと背伸び編」があり、僕はビギナー編の推薦をと依頼されたので、自分の訳したものだけれども、エドゥアルド・メンドサ『グルブ消息不明』を推薦した。それについて概要を話し、ごく最初の方で、何度も車に轢かれて首が抜ける箇所を読んだ。
みなさんそれぞれ、1冊ないしは2冊を面白く紹介していた。英語以外の言語からの翻訳も多数。緊張するだの人前で話すのは久しぶりだの言いながらも、うまくまとめ、面白い話しばかりであった。面白そうな作品ばかりであった。
さて、ところで、終了後、サイン会などが開かれた。場所がABC(青山ブックセンター)本店の上の施設だったので、ABCで買って、その本にサインをもらう、なんてことも可能だった。ともかく、サイン会が開かれたのだ。すると、サインペンも用意されていたのだが、かなりの数の翻訳家たちが自らの万年筆を取り出し、サインしていた。
万年筆だ。
パイロットの80周年記念の限定品を持っている人、巻物式の筆入れに何本もの万年筆をさしている人、ペリカンのスーベレーンをさりげなくひけらかす人(僕以外に、ということだが)……等々。
ふむ。職業柄、と言えばいいのか? ここにこれだけの需要があることに文具会社は注目すべきだろうな。