午後、図書館で少し調べ物をした。東大の図書館にもEspasa-Calpeの70巻(+数十巻もの付録)におよぶ Enciclopedia Universal ilustrada やEnciclopedia de México なんてレファレンスがある。ラルースのスペイン語版百科事典も欲しかったところだが、まあいい。ともかくぼくらはまず、こうしたレファレンスを読み、論点と参考文献を手探りしていく。
東大中央図書館のレファレンス室(参考資料室)は二層構造のたっぷりとしたスペースで、そこのテーブルでぼくは50ページばかりもある百科事典の "tranvía"(トラム。路面電車)の項目などを読んでいたわけだ。
余談ながら、たっぷりとしたレファレンス室でレファレンスをめくっているらしい人は、ぼくをのぞけばひとりだけだった。たいていが学生らしい利用者たちはみな、図書館を、レファレンス室を、体のいい勉強部屋ていどに思って利用しているようだった。井上真琴(『図書館に訊け!』ちくま新書、2004)が言うように、日本の大学ではレファレンスをまず導きの糸とする教育が欠けているようだ。
で、ともかく、既に何度か書いたと思うが、ぼくはジャパンナレッジ(JK、といっても女子高生ではない)を個人契約している。何種類もの辞書に『日本国語大辞典』、『日本大百科全書』、『国史大事典』らが横断検索できるし、文庫クセジュ、日本古典文学全集、東洋文庫、なども読める。今ではたいていの図書館がJKと契約していて、自分で契約しなくても参照は可能なのだが、学内のみからアクセスできるという制限付きだったりするし、いつ大学を放り出されるかわからないし……で、個人で契約している。
研究室に帰ってから、ひょっとしてエスパサの百科事典もネットで閲覧できるのでは? と思い立った。案の定、できる。で、登録しようとしたのだが、どうもうまく行かない。不正に国名を入れてはならない、と言われて拒否される。
しかたがないから、今度は考え方を変えて、ブリタニカを使うことを考えた。ブリタニカ・ジャパンは、英語版と日本語版だけでなくスペイン語版など多言語が参照可能なのだが、これがどうやら、個人契約は受けつけていないらしいのだ。少なくとも料金設定の説明に「個人」の項目はない。やれやれ。どこまでも所属がないと生きづらいのだ。
iPadソフトはあった。スペインの王立アカデミー辞書と同じで、検索用のソフトが無料で。ただし、アカデミー辞書と違うところは、別個、ブリタニカと閲覧の契約を結ばねばならないこと。年額1,500円也。(PCのブラウザでならもっと高いと思う)
そのブリタニカ。 "Mexico City" の項目全28ページの中に、わずか1行、"By the end of the 19th century, streetcars pulled by mules linked the centre of the city with villages like Mixcoac". とある。この1行が実に大きな示唆となるのだ。だって、……なんでわざわざこう書くの? ということだよ。