いろいろあって、でも応急措置でどうにかなりそうで、ほっとしてメールボックスを見たところ、郵便が届いていた。
DVDだった。
はて? アマゾンかどこかにDVDを注文していたんだっけか?
『ブルース・ブラザーズ』だった。手紙がついていた。読んで不覚にも涙しそうになった。
しばらく音信不通になっていた教え子からのものだった。借りたままになったこの作品を、やっと連絡できるくらいに元気になったと言って返してきたのだ。5年ぶりくらいだろうか。
詳しくは言えないけれども、その彼女はある出来事にたいそうショックを受けて音信不通になったのだった。何度かメールを入れたけれども、返事もなかった。そのうち、送ったメールが宛先不明で戻ってくるようになった。
手紙には平静を装って返事ができそうになかったからそのまま黙っていたのだと書いてあった。平静を保てなくてもいいのだ。あれだけ動揺していたのだから。
返事だってしなくていいのだ。ちゃんと無事でいてくれれば。時間がかかっても元気を取り戻してくれればそれでいい。
手紙には連絡先が書いてなかったし、以前のアドレスにも、もちろんメールは通じなかったけれども、でも、ともかく、無事でよかった。
教え子とDVDといえば、こちらは音信不通どころか、今でも頻繁に会う教え子から、ある日、DVDが届いた。ブニュエルの『小間使いの日記』だった。貸したきり返してくれなかったやつだ。無くしてしまったとかで、無理しなくてもいいと言ったのだが、何年かかけて見つけてくれたようで、返してきたのだ。
それの直前に同じ人物から送られてきたのが、ハイヒール型のチョコレート(写真を撮っていなかったことが悔やまれる。実にすてきな形)。うむ、これは何の暗示だろうか? と思ったら、DVDが届いた次第。なるほど、この映画に合わせてのプレゼントなのだった。
やるな、……。