ともかく、僕らはファシズム政権の誕生を見たのである。国と、そして昨日、都で。教科書や歴史書の記述としてでなく、繰り返される茶番として。
歴史上、最大のファシズムは戦争でしか倒れなかった。このことが心配の種だ。先日、ボラーニョ『第三帝国』発売記念イベントで都甲幸治さんが言っていたことが不気味な警鐘となる。ナチは悪いことをしたから戦争に負けたのではない。つまり勧善懲悪の摂理は働かない。
僕はこのファッショ政権が一刻も早く倒れて欲しいと願うが、それが戦争によってであることは願わない。さりとて、論理(および倫理)だけでは、もはや打倒できないだろうとも思う。
安倍晋三の背後に(アメリカ合衆国のジャパン・ハンドラーたちと並んで)広告代理店が存在することはたまに言われる。では、なぜ反対勢力も広告を利用しないのか? ピノチェト政権打倒のための国民投票の成功の裏に広告代理店を見出したのはアントニオ・スカルメタ/パブロ・ラライン(映画『NO』)であった。
まあいいや。個人の身の振り方としては、身近にいるファシスト支持者たちにどう対処していけばいいのか、そのことが問われている。
原稿をひとつ送付し、これから現代文芸論研究室の合宿に向かうところ。合宿から戻ってきたら、ある授業の成績〆切り日だ。
まだ当分、夏は始まらない。(写真はイメージ)