試写で見てきた。1971年、アルゼンチンで実際に起こった事件(連続殺人、というと少し違うような気がする)を基にした作品。美しく、子供のころから女性と間違えられることもあったカルロス・ロブレード=プーチ(ロレンソ・フェレ)が、産業技術学校の仲間ラモン(チノ・ダリン)やその親と組んで盗みを働き、かつ、次々と殺害していく話。

ロブレードは当初から同性愛者ではないかと報道されたとのことだが、そう断定していないところが映画の生み出す官能性の中心。宝石店に強盗に入ったさいにイヤリングを身につけ、壁の鏡をのぞき込む表情、バスタオルを腰に巻いて眠ったラモンのそのタオルをはだけ、盗んだ宝石を股間に置くシーン(女体盛りならぬ男体盛り……なのか?)などは、あくまでもふれ合うことのないふたりを描きつつ、ゾクッとさせる。逆にラモンの方がゲイの美術商に身を委ねるところが、このふたりの関係の重要なところ。
(写真はイメージ)