昨日、10日(金)、午前中の授業を終え、夜、とある女性と新開拓のレストランで食事をする約束をしていたのだが、どうせならと、昼間のうちから会って行ってきたのだ。
リベラの壁画を持ってこられるはずもなく、リベラのもの自体は少ないですから、期待しないでくださいね、と関係者に言い含められていたし、そもそも壁画をあらぬ期待を込めて所望していたわけでもないので、まあ、「の時代」を楽しむのだと、そういうつもりで出かけて行った北浦和。
埼玉県立近代美術館は入り口にフェルナンド・ボテーロの彫刻をでんと据えた素晴らしい美術館なのだ。埼玉県がメキシコ州と姉妹提携を結んでいることもあり、美術館の広報誌はその名もZócaloだったりする。
さて、リベラの壁画は、もちろん、さすがになかったけれども(映像とスライド投影、それにティナ・モドッティらによる壁画写真数点があった)、若き日のリベラ、そしてパリでキュビスムに転じる前後のリベラ、成熟後の非・壁画作品もあって、なかなかの充実ぶりだった。
そして、肝心の「の時代」。これがまた素晴らしい。特筆したいのは、マヌエル・マプレス=アルセのエストリデンティスモやその後の雑誌『同時代人』にいたるまでの前衛詩のグループとアーティストたちの緊密な繋がりを押さえ、当時の雑誌や、30-30というグループのマニフェストを掲げたポスターなどは見ていて飽きなかった。2時間ばかり滞在して、閉館間際の退出だった。
マプレス=アルセらはボラーニョ『野生の探偵たち』で頻繁に言及されたり登場したりする。その人たちの前衛詩がアートと密接に関連していることを示しくれるものだ。
本来の目的として夜に行ったのは、上野のバスク料理店サルデスカ。
ある人が気になるとツイートしていたのを見たその日、別のある方からデートのお誘いが来たので、行っちゃえ、と提案したもの。いささか裏切り者の気分。カウンターと小さなテーブルがひとつあるだけの、スナックを居抜きした、ひとりで切り盛りしている店。食事のメニューはすべて日替わりらしい。どれも非常に美味であった。