ぼくならこうタイトルをつけたいくらいである。
ホルヘ・サンヒネス『地下の民』(ボリビア、1989)
アイマラの先住民セバスティアン(レイナルド・ユフラ)がラ・パスを捨て、故郷の村クルカニに帰る話だ。これを被って死ぬまで踊るという死の舞踏のためのお面を担いでいるところから考えるに、どうも彼は死にに帰るらしい。途中、おりから起こったクーデタに対抗するために農民たちが張ったブロックに行く手を阻まれたり、軍から追われているらしい学生運動の闘士にポンチョを譲れと言われたりする。こうした細部のいちいちが、実はセバスティアンが死を覚悟するにいたる過去からのしっぺ返しのようなものだということが、徐々に明かされていく。
一旦は内務省に入り、軍事クーデタに荷担し、農民たちを弾圧する側にまわり、その後、帰郷して村長に選ばれ、そこで行ったことによって村を追い出され、……という過去を持つセバスティアンにとって、実はそれが二度目の、そして決定的な帰郷だった、という次第。
最後は、死と集団、ということについて何ごとか考えさせられる(今日は実は『アクト・オブ・キリング』とこれ、どちらにしようか迷ったのだよ)。死ぬまで踊り続ける舞踏の圧巻。
ぼくは学生時代、サークルの活動でいくつか映画上映会をやったりしていて、その一環としてウカマウの『第一の敵』だったか『ここから出ていけ』だったかを上映したように思っていた。いや、あるいは、それをどこかに観に行ったのかもしれない。そんなわけで、この『地下の民』も見た気になっていたのだが、どれだけ映画が進んでも記憶が蘇ってこない。つまり、やはり、これが初見だったのだ。「ボリビア・ウカマウ集団制作/ホルヘ・サンヒネス監督全作品レトロスペクティブ 革命の映画/映画の革命」今日から16日まで、新宿K'sシネマでやっています。